分野を問わず日米の比較をテーマとする本は、アメリカで生活したことがあるか、アメリカ人と一緒に働いたことがあるかといった個人的なバックグラウンドの違いによって読者の感想・評価が大きく分かれる傾向にある。本書についても同様で、まるドメ(=まるでドメスティック)な皆さんには「またアメリカ礼賛か」と却下される可能性が高い。だが、そういう向きには著者の経歴と本書を著すに至った経緯に注目してほしい。典型的な文系エリートコースを歩いてきた著者が、アメリカ人エリートのパワーを実感し、その源泉を探るうちに出会ったのがボーディングスクールであり、興味をそそられて実情を調査するうちについには全く専門外の本書を著すことになったのである。本書が単なる「アメリカ礼賛」の書ではないことを容易に理解していただけるだろう。<P>高額な学費に見合った最高の教育を提供する機関-それがボーディングスクールである。その教育環境の豊かさ、カリキュラムの多様性にはもちろん圧倒されるが、入学面接の段階から生徒一人一人の個性を正確に把握しようとし、その能力を最大限に伸ばそうと情熱を注ぐ教職員たちのプロフェッショナルな姿勢には感動すら覚える。目を覆いたくなるような学力低下が日常になってしまった日本に生まれても、親に相応の見識と経済力が、子供にやる気と根性(!)があれば、こんな選択肢も可能なのだ。富を教育に注ぎ込んでさらなる富を生み出そうとするアメリカ流教育戦略に賭けてみたくなる読者も少なくないのでは?実は私も「棄国子女になってもいい。(子供がいないので)姪をなんとしてもボーディングスクールに入れるぞ!」と密かに心に誓いました。(もっとも、宝くじが当たったら、の話ですが。)
ボーディングスクール。私だってあと二年早く知っていれば…完全に行っていたのに この本を読んだときはそう思いました(16歳でした)。この本を読んだきっかけは学校長の講和のネタはどこからきているのか…と追求したところこの本であった次第です。日本における中高の教育の意義ははたして…とかんがえさせられました。日本人は数学ができ頭がよい。そんな考えはもうこの世の中では通用しません。今世界のトップはどのような教育を受けてきた人たちでしょうか?ほとんどがアメリカであれイギリスであれその他の国も全寮制学校で中高時代を過ごした方たちではないでしょうか?これを日本が取り入れると帝国主義てきなものへと返るような気もしますが、日本だけではないでしょうか?ゆとりとさけんでいるのは。1つの教育の指針としてあるいはお子様の中高選択の1選択肢としておよみになられることをお勧めいたします。我が子には人並みな人生で終わって欲しくない、あるいは世界で活躍する人材となって欲しいと願うお母様がたぜひお読みください。日本のトップ進学校とも比べ物になりません。
ボーディング・スクールについての優れたガイドですが、中等教育まで他国に任せなくてはいけないかもしれないという日本の状況を考えると、少し複雑な気持ちです。今のところ、大学からアメリカで教育を受けただけでも日本での適応が大変と聞きますので、高校時代から向こうで育った者はもう日本に帰って来れない(「日本人」ではない?)かもしれません。<P> よく計画された留学が当人にとって良いことはもちろんでしょう。でも、彼らが日本に帰ってきて貢献してくれることを期待するのは多少無理があるかもしれないと思っています。著者にはそのように日本社会を変える構想があるようですが、若者が情熱を注いでくれるのはそれなりの《魅力》や《将来性》のある社会だろうと思います。まして教育とい!!!、地域社会に深く根を下ろした制度の改革に、彼ら「アメリカ人」が力を注いでくれるかどうかは疑問です。