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モーニング娘。×つんく♂ ( 能地 祐子 )

卒業者を含めたモーニング娘。全員(現在芸能活動を行なっていない福田、石黒を除く5期までの15人)と、プロデューサーつんく♂へのインタビューを試みた、おそらく二度と有り得ないであろう空前絶後のインタビュー集。<P>モーニング娘。にとってモーニング娘。とはどんな存在なのか。卒業した中澤裕子と市井紗耶香、新たに卒業が決まった後藤真希と保田圭、また第一線で闘いつづける現役娘。たち、それぞれが抱いた夢と現実がここにある。ファン必見の良書。

TV番組の一企画から始まり、今では社会現象とまでいわれるモーニング娘。その人気の秘密は何?答える彼女たちの飾らない、爽やかな言葉には感動すら覚えます。例えば「変らないモー娘。っぽさ?なんだろう?一生懸命…かな(飯田)」「(いじめを受けた過去を持つ)自分にはそういう強みはあるような気がする(安倍)」「自分の弱い部分や欠点だってプラスにしていけばいいんじゃないかなって(保田)」「ダンスも得意じゃないし。演技もできないし。それで、そのころから自分の目標が"一生懸命"になったんですよ(矢口)」<P>この本を読んで感銘を受けた点は①先輩が後輩をほとんど無条件にかわいがっている②お互いが単にライバルでも友達でもないという刺激のある環境を保っているプロである③モー娘。にしがみついているメンバーは1人もおらず、模索しながらも自分の道を行く覚悟ができている④つんく♂もその方針でプロデュースを進めている。彼は過去の使い捨て的なアイドルの残酷さを嫌い、あくまで音楽にこだわった路線を来ている…いろいろ勉強になります。単なる芸能本として片付けるのはもったいない内容です。元気のない会社の社長さん、ひとついかがでしょうか?

 最近の「娘。」オフィシャル本の中では、言葉は悪いが「ぼったくり的高価格」を設定していないだけでも良心的な本。不要な分冊も子供だましのおまけもなく、オーソドックスな作りと価格設定で好感が持てる。肝心の内容については、ほとんどが既によく知られていることで新鮮味は今ひとつであったが、矢口がインターネットの自分の悪口を見ていたせいで精神的に不安定になったとか、つんく♂氏が全員の声帯写真を参考にしているとかいう話は、いずれも初めて聞くことで興味深かった。<P> 世に「娘。本」はたくさん出ているが、評論家やファンの作った本は、労作ではあっても「何か違う」という内容が多いし、暴露本やストーカー本の類は、あまりにも大人げなく趣味が悪すぎる。だいたい、第三者の感想と網羅的な資料とか怪しげな噂などは、昨今インターネットで腐るほど拾うことができるわけだから、当人たちが本音をどこまで語っているかはわからないものの、やはりオリジナルのコメントが大量に読めるという点で本書の存在はありがたい。市井と中澤のインタヴューが現役と同じ分量だけ収められているのもよい。<P> 残念だったのは、インタヴュー時期がメンバーによって「卒業&再編」発表前と後に分かれてしまっていること。公式本なら、事務所ももう少しその辺の便宜を図ってやればよいのに、と感じた。また、柱の小川「真」琴の誤字は、繰り返されるだけに本人が気の毒になった。<P> もう一つ、これは完全に無い物ねだりではあるけれど、もしほんの2ヶ月後、後藤卒業コンサートの後に取材が行われていれば席を黄色い光で埋め尽くしたあの「いちめんのたんぽぽ」(←山村暮鳥風)や、終演後も延々と続いた「ごっちんコール」に対する本人たちの感想も聞けて、いっそう熱っぽい内容になっただろうに、と惜しまれる。

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