タイトルから書き下ろしかと思って手にとって、その点では裏切られました。この本は、今までに発表された文章や、演説、そして日記など、緒方さんの手になる文章を集めた、いわば記録集のようなものでした。<P>それでも緒方さんの明確な主張、ヒューマニストでありながら、理想を実現するためにはリアリストである点、それを裏付けるために前例を次々に破る力、各国首脳との交渉力、などなど、非常に感動・共感しました。<P>日記部分は最初は「なんじゃこれ?」と思いましたが、その中からUNHCRという大組織のトップのマネージメントのあり方が浮かび上がり、非常に興味深いものです。<BR>緒方貞子さんを読み解く資料としてぜひお勧めしたい本です。
緒方貞子さんの弁務官時代の記録集である。<BR>こまかなスケジュールや当時の論文、スピーチ原稿が収録されている。<BR>が、文字通りそれだけの本である。<BR>どうしても公式な記録集であるため、緒方さんの「肉声」に感じられなかった。<BR>そういったものを期待して読んだのが間違いなのかな。
①UNHCRについて詳しく知らない人には極めて分かりにくい構成。特に日記の部分。せっかく本にしているのに、そのまんま日記という感じ。<P>②難民の情報が希薄すぎる。もっと現地の難民の声が聞きたかった、彼らの生き方、考え方。現場が大切という割には、国連側の現場がメインで、難民の立場にたった現場の状況についてはほとんど触れられていない、あくまでも第3者的な視線で難民の悲惨さについて語っているのがやるせなかった。<P>③内容のくり返しが多すぎる。後半部分は、講義や講演がそのまま原稿になっているので、内容的に重複している部分が多すぎる。(編集サイドの問題か?)