スウェーデンに興味を持つようになり、本を検索していた結果この本に出会い、購入しました。私は、社会学(特に文化社会学と教育社会学)を学ぶ学生で、ただ「スウェーデンの仕組みが簡単にわかるかな」という安易な気持ちで本書を手にしたのですが、その視点にとても驚かされました。それは、あまりにも、私が何故社会学を学んでいるかという理由とイコールだったからです。私が、社会学を学んでいる理由は、「少しでも多くの人が自分の道を選び豊かな社会をつくっていけるようにしたい」というものなのですが、この本も(訳者がまえがきで要約してくださっているのですが)「恵まれない家庭環境に育った者も、犯罪を犯した者も、自分の能力に自信のない者も、何にたいしても興味や関心をもてない者も、そうした状況を克服して建設的な生き方ができることを繰り返し主張している」「社会は自分たちの手で変革できることを教えている」のです。絵や写真が満載で文章も簡単、本当に読みやすい本なのですが、胸にずしりと来ました。今後の私の人生に活かしていきたいです。すばらしい教科書です。
実はこの本、すでに発売直後に入手していた。あるセミナーに参加した友人が紹介してくれたのだ。さっそく取り寄せひと通り読んでみたが、実はあんまり印象に残らなかった。それでも手放したくなかったのは、いつか役立つときが来るだろうと思っていたからだ。それから結婚し子どもが生まれて子育てに携わるようになってから、またあらためてこの本を読み返してみた。すると時を経てこの本のよさがじわじわと伝わってきたのだ。<P> 日本の中学校で教えている「公民」という教科では、どちらかといえば政治や経済、社会の「枠組み」ばかりを指導し、それを丸暗記させる。これに対し、福祉国家で知られるスウェーデンでは、政治や経済、地域共同体といったなかで自分はどこに位置付けされ、どのような役割を果たし、さらに自分は他者に対して何ができるかを指導している。それは、日本の教育が「どんなことを知っているか」を重んじ、米国では「どんなことができるか」を重視するのに対し、スウェーデンでは「どんな人であるか」を大切にしていると読み取れる。日本人にとっては、とても新鮮な視点だ。<P> さすがに中学教科書をそのまま翻訳しているため、文章はわかりやすく、写真やイラスト、図表なども豊富で、もし自分が生徒の立場であればとても親しみやすい。機会があれば、この教科書を参考に私たちが暮らしている地域、さらには日本の社会をモデルに「新しい教科書」を作ってみたくなる。そんな一冊だ。