『ジャズは慣れだ』……と著者は断言しています。<P>ジャズという音楽はお洒落でクールな、ちょっと大人の音楽というイメージが<BR>ありますが、そのイメージとは裏腹に即興性や複雑なコード進行故に取っつき<BR>にくい音楽であることも事実でしょう。<P>しかしそんなジャズ初心者に対して著者は、自分の音楽遍歴を紹介しつつ何<P>回も繰り返し聞いていくことで、ある日突然その良さがわかるということを述<BR>べています。<P>さらに初心者にとって有り難いのが『CDは月２枚でいい』という著者の理論<BR>です。あまりに多くの人名が現れるジャズの入門書を読むと、あれもこれも<BR>とCDを揃えなければいけないような気にさせられてしまいますが、本書では<P>１ヶ月にしっかり聞き込めるCDの枚数は２枚という著者の持論が貫かれてい<BR>ます。こういう精神的プレッシャーを解きほぐしてくれる１文だけでジャズ<BR>に親しもうという覇気が沸いてきます。<P>また、同じジャズの名盤でも、どうすれば如何に安く手にはいるかなど現実<BR>に即したレクチャーも書かれているのがありがたいです。こうした配慮こそ<P>初心者向けの本には必要でしょう。<P>肝心の音楽の紹介も平易でわかりやすい言葉で書かれていて、読んでいるだ<BR>けでその曲が聴きたくなります。マニアックに陥らず、著者のジャズを広め<BR>ようとする愛情が感じられます。<P>ジャズの名盤紹介は数多く出版されていますが、これからジャズを聴いてみ<BR>ようという人にはお勧めの１冊です。