CMMレベル5を取得している会社の実例が、PMの観点で書かれています。<BR>中小企業に籍を置く小生は、レベルの違いに驚くばかりでした。<BR> 例えば年間500以上のプロジェクトをこなす会社なればこそ、実績のデータベース化も可能なのでしょう。<BR>年間10にも満たないプロジェクトしか動かさない企業では、データベース化の金銭的余裕はないでしょうね・・・<P> IT産業ののPMを志すものなら、組織を挙げてプロセスを改善する、その理想形を知る価値はあるでしょう。<BR>「入門」と表題にするには、ややレベルは高いかもしれません。
CMM能力成熟度モデルCapability Matuarity Model自体については前著に詳しいようだが、本書でもその有効さは十分理解できる。<P>全体は筆者の属するインドのソフトウェア開発会社Infosys社での事例を引き合いにして語られるが、好例と悪例を対比させることで特徴が理解しやすい。ドキュメントコントロールに重きを置くISOに対して、経験に裏打ちされたCMMの手法が、開発ステージ毎に、いかに効果的かと言うことが繰り返し述べられている。<P>ここで重要なのは「なぜ自分のプロジェクトでは、このように上手く進まないのか」と言うことだろう。私のように本書に救いを求めに来た読者もいるかもしれない。<P>本書で得られる答えは、有効な実績データが積み重なるまで、試行錯誤して自分たちのチームの力を見きわめ、見積もりの精度を上げられるような腰が据わった開発をすることだ、という事だろう。つまりマネジメントは、あくまでも組織の経験則のうえに成り立つ物で、早道はないと言うことである。<P>無理な計画が神業のようなマネジメントで達成されるわけではない。妥当な計画を、逸脱を防いで完遂することがプロジェクトマネジメントなのだと教えてくれる。その積み重ねで自己修正していく手法がCMMの骨子なのだと読めた。