小室直樹博士の本を読んだことの無い人でも、憲法に興味のある人ならばスラスラと最後まで読める本です。<BR>護憲、改憲といった憲法の問題は、高校生・大学生の方々でも、政治に関心があるなら、よく議論されることと思います。<BR>当然、その前提として憲法について学ぶと思いますが、その学ぶ本として、この本を加えてはどうかと思います。<P>読後はおそらく、憲法にそれほど深い関心がなかった人でも興味が増大していき、もともと憲法に興味があった人もハッとし、<BR>小室直樹博士を知らなかった人がここからその世界に脚を踏み入れることになった・・・という本であったということになると思います。
「痛快!」と銘打ってはいるが決して生温くはない。<BR>ボリューム過剰による消化不良でギブアップした一般読者(犠牲者)は多々いたのでは・・。<BR>本書は小室社会科学の濃縮ベスト版といえる。<BR>小室フリークにはたまらない珠玉の名作である。<BR>「痛快!憲法学」ならぬ「痛快!小室学」といえよう。
この本は、現在の日本国憲法の実定法を解説する本ではないが、その理解に必要不可欠な思想と歴史を明確に提示している。<BR>例えば、ディズレーリが造り出した「公約は守らねばならない」というイギリスの憲法慣行を知れば、国会議員の「社会学的代表観」を説く者が国民と政治家の意思の事実上の一致を重要視するのが深く理解できる。<P>また、ナチスドイツを例に憲法の「死」を実証した点は秀逸である。<BR>ただ、理想を言えば、「英米法」と「大陸法」の違いを明確にして欲しかった。<BR>しかしながら、この本の知識を原書にあたって得ようとすれば、多くの時間と労力をさかねばならず、さらに、意味不明な論理に何度もぶつからなければならない。<P>これだけの内容を平易かつ凝縮して書けるのはこの筆者だから!!こそできる事である。この本は憲法の思想と歴史の見事なダイジェストである。