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| 静かなリーダーシップ
(
ジョセフ・L. バダラッコ
Joseph L.,Jr. Badaracco
夏里 尚子
高木 晴夫
渡辺 有貴
)
本を選ぶ時タイトルの占める重要度は非常に高い。この観点からは「静かなリーダーシップ」というタイトルに惹かれる方は少ないだろう。リーダーシップについてのノウハウ本の方がわかり易そうだ。<BR> <BR> ただ、この本には歴史的な我々の既存の価値観を覆す内容が記されている。<P> それは何らかの問題解決が必要になった時、解決までのプロセスで重要な役割を果たすのは偉大なリーダーの迅速な意思決定ではなく、地味でかつ現実を直視した静かなリーダーだということである。この静かなリーダーというのは、歴史上の英傑など私たちがイメージするリーダーとは程遠い。<P> みなさんの周りにもいるのではないか。口だけで目立ちたがりやの表面上のリーダーの下で、地味にこつこつと成果を発揮しているようなリーダーが。<BR> ある病院でのケースを始め様々なケースを元に実践的に解説されている。抽象的でわかりにくい、リーダシップのノウハウ本に飽き飽きしている人におすすめ。<BR>(2002年10月2日読了)
静かなリーダーシップ
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| 従来のリーダーシップ論は、偉大なヒーロー型のリーダー像を強調してきたが、本書はそれとは違うリーダーのあり方を論じている。著者がタイトルでうたっている「静かなリーダー」が、それである。 <p> 静かなリーダーとはどういう人か。それは「忍耐強くて慎重で、段階を経て行動する人、犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを、目立たずに実践している人」である。自分の価値観に基づいて生きながら、自分のキャリアや評判を危険にさらすことなく、難しい問題を引き受ける人。身の周りに沢山いそうな、そういう人である。 <p> ヒーローは他人のために自ら進んで犠牲になる人だが、静かなリーダーはそうではない。自分にも気を配り自分の地位を守ろうとする、健全な利己主義の人である。本書では、ヒーローモデルが全面否定されているわけではない。けれども、世界を動かし変革するのは、実は静かなリーダーであると著者は信じているのであり、その信念が本書の説得力にもつながっている。 <p> 著者は、ハーバード・ビジネススクールの教師である。事例をベースとし、多種多様な意見をまとめていく立論を読むと、教室での議論の成果が本書に生かされていることがわかる。本書の最大の特徴は、従来のリーダーシップ論とはまったく異なるリーダー像を打ち出している点である。静かなリーダーという着想がまずおもしろい。また、事例に基づく議論が説得的で、考察が深く、知的である。経営書には、妙に明るい共通の匂いがあるように思われる。男っぽい、野蛮な、体育会系とでも呼ぶべきにおいである。そういうにおいと違う本に久し振りに出合ったという感想を持った。議論が騒がしくなく、静かなのだ。 <p> ただし、本書が主として対象としているのは、大規模組織の文字通りのトップではなく、むしろミドルだろう。組織の中でミドルはいかに生きていくべきか。組織内の日常的な問題解決に示唆するところの多い本である。(榊原清則) |
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