PMBOKの日本版も持っていますが学習するために書かれたものでは無いですので、自習書としては適していません。一方このPMP教科書はその書名の通り自習書で、PMBOKだけで自習するよりも遙かに学習効果がありました。とりあえずはPMPを受験するつもりで無い方でもプロマネの自習書としてオススメします。トレーニングテキストのライターの視点で見ても、この本は学習課題、チャンクの構成、指導法略などが良く練られ手本になるような良くできた教科書です。唯一の難点は700ページもあるので通勤で読むには重くかさばりすぎることです。
本書を受験勉強の仕上げに用い、見事PMPに合格することができた。<BR>PMBOKはプロジェクト管理の体系を説明した、いわば事典的なものであるため、丸暗記を強いられるものになりがちである。それに比べて本書は実際のプロジェクトの進行に沿ってストーリー立てられており、自然に流れを理解できるようになっている。例えばある技法について、PMBOKは用語の意味を詳細に解説しているのに対し、本書は実例とそれを使用する理由を挙げているといった具合である。<BR>本書で何より興味深いのがケーススタディで、架空の『キッチン・ヘブン社』プロジェクトについて、各章でのプロジェクトの進み具合に沿ったトピックスを紹介している。これが秀逸で、主人公のプロジェクトマネージャに感情移入しながら読み進めること!できた。キッチン・ヘブン社のプロジェクト終結時には、自分の本書の読破というプロジェクト終結とダブらせて、ちょっとした達成感を味わえたほどだ。<BR>本文はストーリーを味わいながら通読し、CD-ROMの問題を仕上げにする。解けなかった問題にあたったときに本文を再確認するぐらいのスタンスで進めると良いだろう。<BR>試験対策としては問題文の訳語が統一されていないことを想定し、各プロセスのインプット、ツールと技法、アウトプットは英語で覚えるのが吉。本書は英語には力点を置いていないため、原文のPMBOKの併読も必須。
どうすれば,この本の価値を引き出し,自分の仕事に使えるか?<BR>この観点から本書を読み解くと,広い視野が得られてくる.<P>資格に関する書籍は,概して,「合格すること」を目的に購入されることが多いと思われる.そして大半の書籍はその目的のためだけの記述に終始する.<P>この本は,ある意味,その目的の域を越えることが出来る内容になっている.<P>たとえば,自分がプロジェクト・マネージャーとして任命されて,後々になってからプロジェクトにより実現される作成物や機能に対して,プロジェクトの主たる担当者「以外」から,改善要求を受けた経験はないだろうか.<BR>これは,プロジェクトの立上げ時に,何を実施すべきか,というところに関係してくる.<P>プロジェクトの立上げにおいて,ステークルダーを意識することの重要性を理解し,顧客に対して,そのことを伝えることが出来ているか.<BR>顧客に対して具体的にどうアプローチするかは,プロジェクト・マネージャーの資質によるところであるが,少なくとも,本書を読み解くことで,そのヒントは得られる.<P>本書は試験対策向けとしてのみ使用するには惜しいほど,事例を含めた記述が充実している.<P>自分はどうであったか.自分であればどうするか.ということを意識しながら読み進めることで,資格取得という目的だけでなく,如何にプロジェクトをマネジメントするかという,本来の目的を達成する糸口として,この「教科書」は利用してゆけるもののように思う.