「通訳の神様」として有名な國弘正雄先生が提唱する「只管朗読(音読)」「只管筆写」を体系化し、さらにTOEICのスコアUPに適用するための方法がこの本には書いてある。著者の鹿野氏はこの本でも述べているとおり、TOEICの普及活動で有名な千田潤一氏の門下生であり、現在では「英語難民」を救うためのトレーナーとして活躍されている。<P>著者らの主張の要点は先に述べたように英文の「筆写」と「音読」をひたすら「経」を写し読むがごとく行い、記憶に定着させていくというものである。<P>昨今の脳科学の研究でも、書きながら声を出して読むことは言語理解を司るウェルニッケ中枢と言語を発するための筋肉の動きを司るブローカ中枢が刺激され、言語の定着に大変効率がよいという結果があるらしい。この方法で学習すると脳の活動も活発になるということだから、大変人間の脳には適したやり方であるといえるだろう。<P>ただ、この方法は「王道」であるがために大変地道で、続けるためにいろいろ工夫をしないと「飽きてしまう」という弱点を持っている。これを楽しくやり遂げるためには、この本に書いてある「楽習トレーニング」の方法論を良く読み、自分にあったマテリアル・トレーニングのための英文を選ぶ必要があるだろう。<P>この本だけで900点を突破できるわけではないが、この方法を続けた者は、確かにTOEIC900点突破の栄光を勝ち取ることも夢ではないだろう。そう思えるだけの根拠は著者の体験談からも読み取れる。惜しむらくは、読者がすぐにでもこの方法を効率よく開始できるように、もっと多くの種類の音読筆写の具体的な資料や無料あるいは低価格で使える教材を巻末にでもリストして欲しかった。この本の中の例文や著者の他の関連書だけでは、いささか少なすぎはしないだろうか。
鹿野先生の著書はみんな読んでます。確かに、内容がかぶっている部分もあるけど、だからこそ”定着”につながると思う。私の場合はとても熱しやすく冷めやすい性格(^_^;)『英語難民を救う本』を読んですごぉくヤル気がでたけど、気が付いたら怠けてたり。。。またそんな時にこの本を読んで、モチベーションがあがったし、トレーニング方を再認識できました。それに、『英語難民~』は鹿野先生の体験の記録だったけど、この本は項目ごとになっている点で、とても体系的でわかりやすかったですよ。あとは、生講義のCD、いいですネ(^^♪
タイトルを見ただけでしり込みしてしまう人もいるかもしれませんが、3つのトレーニングとともに書かれている2つのマネジメントは、TOEICスコアがどのレベルにある人でも、そしてTOEIC以外のことにチャレンジする場合にでも、きっと役にたちます。トレーニングを自分の生活の一部とする、やる気を育てる、このことが実は英語そのものよりもずっと難しいのですから。今日はしんどいなと思ったときに自分に喝を入れるためにも、ずっと机の横に置いておきたい本です。