流行りの企業を紹介した、よくある会社紹介本ではありません。 経営者自身が書き上げた、「宅急便」というビジネスモデルの構築記です。経営者自身の筆によるため、興味深いエピソード等が随所にちりばめられています。 例えば、宅急便の取り次ぎは酒屋には人気があったが米屋には人気が無かった・・・等。(答えは本書で)<P>また、徹底した顧客思考は一ビジネスマンにも、本当のサービスとは何か?を教えてくれます。 世の「見かけだけ顧客思考」の経営者に是非呼んで欲しい。真の顧客思考がのこの本の中にあります。 著者は語ります、経営者には「論理的思考」と「高い倫理観」が不可欠だと。
非常に真面目に書かれている本だと思います。読者として興味を持ちそうな話をきちんと漏らさず書いている本であり、まさにそこにいる読者に対して正対して記述している小倉氏の姿勢をまざまざと感じることができます。<P> その内容は、個人的な経験、ヤマト運輸の経験、そして経営リーダー論。「経営学」というタイトルからは、経営リーダー論が主たる内容にならざるを得ないし、それにもそれなりのページ数を割いているのですが、本当はこの本の価値は、ヤマト運輸の経験を述べた前半部にあると思います。最終部の経営リーダー論は、ちょっと総花的だし、かならずしも前半のエッセンスを掬いきれていないと思います。<P> ヤマト運輸の経験を述べた前半部、それは、ぼんくら経営者ごのみの逸話にあふれ!!いますが、その中でも最も重要であるのは「論理的」であることを追求する立場だと思います。しばしば、実務家、実業家として成功した人は「理屈は理屈、実践は実践」で、論理はさておき実践を重んじる傾向にあるのですが、筆者の実践は、論理に裏付けられたものであろうとずっとしてきていることがうかがえます。<P> 決断、決めることそのものが大切なのではなく、決めるためにどこまで筋道だてて考えたか。よく勘違いしてしまいがちな、おかしな「決断」をめぐる逸話だけにとらわれなければ、筆者がどのような論理の中で物事を決断したのかということを読むことができる、そして仕事に向かってどういう態度を取るべきか示唆してくれるすばらしい本だと思います。
タイトルの「経営学」というのは多くの人にとって、「学問」の名前である。しかし、経営学という学問自身は、それ自身を「実学」と称してる。つまり、現実をフィードバックして、その時代や環境に応じて中身を替えていくものであると。<P> まあ、それはどうでもいい。文章はぼくとつとしているが、こんなに迫力のある書物は初めてである。岳父が創業した「大和運輸」をダイワウンユと読み違えられるので「ヤマト運輸」に表記を変更。恩人ともいえる三越百貨店との契約解消、個人宅配市場に関心を寄せ、役員全員の反対を押し切って「宅配便」ビジネスに参入。次から次へと沸き起こる問題をいつも論理的に考えてピンチを切り抜ける。<P> 「成功体験を出版したらその会社はおかしくなる」というジンクスを警戒し出版の要請を頑なに断ってきた著者が、相談役にしりぞいて会社経営と距離をおいて「満を持して」書き上げた本書は、著者の生き様同様、奥深い味わい深い質の高い読み物になっていると思います。