成果主義をすすめるビジネス書が多い中で、成果主義はどんな形でもダメ、と言い切る珍しい本。<BR> 成果主義に疑問を感じている人には共感できるところが多い。<BR> 成果主義の無批判な流行に一石を投じる。<P> しかし、成果主義を全面否定し、年功制を全面的に肯定しており、これも極端。<BR> しかも、終始、経営者の立場ではなく、会社員の立場での論考。<P> 筆者自身が大学に雇用される立場からか、会社に雇われる会社員の立場を自分の身に置き換え共感しているように見える。<P> 登場する実例が、筆者の身の回りでたまたま見聞きした話に限定されていて説得力に欠ける部分も。<P> 日本的経営の評価に関して登場する、かつて筆者を罵倒した大物教授への鬱憤晴らしの部分は、個人的な感情は分かるが、その内容は意味不明。<P> テイラー以降の経営論の変遷を批判的に追いながら年功制の有効性を説くあたりは、学者らしい興味深い読み物となっている。<BR>
「成果主義」になんとなく胡散臭さを感じながら自身の論拠に<BR>もどかしさを持つ人には(自分もだが)実にわかりやすい。<BR> 近代100年の実験・検証・学説を様々に開陳しながら、やさしく<BR>解説してくれる。<P> 働くことの意味、賃金とは、やる気とは、経営者とは・・・<BR>とかく学者の言葉には現場との遊離が感じられるが、著者の言葉は<P>豊富なフィールドワークに支えられサラリーマンの感覚を裏切らない。<BR>経営学とは、人の気持ちの在り様を探る学問か。<P> 人事担当者の浅薄な使命感で「成果主義」が導入され、<BR>従業員の生活が一変させられるのは、なんともやりきれない。<BR>常に未来を志向する日本の「年功式人事制度」こそ、<BR>モチベーション発揮に最適という考えに賛成である。
「虚妄の成果主義」を読んでいると同僚に言った所、「時代に逆行しているな」と言い返されてしまいました。そう、この本は、一見して時代に逆行していることを真面目に取り扱っています。<P>成果主義というのは仕事の出来映え結果で給料を決めるという仕組みですが、それは「お金」が仕事をする上で最も重要な「エサ」であると認識している事に由来します。<P>ですが、この著者は、ここに最大の疑問を呈しています。確かに人はお金で仕事をしますが、お金を手段にしたとたん、ベストを尽くす働き方から基準をクリアーするためだけの働き方になってしまうとしています。<P>人が最善を尽くすのは、未来の明るい目標に向かって歩む時。未来を提示することない成果主義では先行きが危うい。<P>何となく成果主義に疑問を持っている人に、何が問題なのかを分からせるのが本書の醍醐味。ちょっとでも興味を持ったなら、是非読んで貰いたいです。