本書のエスプリには脱帽である。テスト技法云々ではほとんど役にたたないかもしれないが、業界人のお笑い読み物としては最高の出来だと思う。実際に成功しているプロジェクトを経験した人間には、納得できる内容が多い。ただ、国内の開発者には何が言いたいのか理解できないと思う。
全体に出版社の言う「金言集」とかでなく、ソフトウェア開発のプロセスの諸所で遭遇した難関の際に思いついたことを並べた印象があります。そのため、鉄則の質にばらつきがあり、読んでがっかりすることが多いのが実情です。テスト担当として専門化された職業でなく、開発を進めながら、テストを行う日本型のやりかたですと、違和感を覚える内容でした。テスト屋仲間同士ですと共感を与える内容かもしれませんが、「それでどうした」という鉄則が多く、馴染めませんでした。それと、米国のSWEBOKという文書を下敷きにした記述が多く、日本語版での編集でその点を配慮すべきだったと思います。
内容を見ると非常にわかりやすく、それぞれの鉄則が胸に突き刺さることが多い。それぞれの鉄則1つ1つにつき1冊の本ができるようなネタが多い。<P>まえがきの段階で、用語(兆候・品質・ブラックボックステストなど)の説明をさらっと終わらせ、実践的なことが書かれている。また、テストの技法・手続きだけでなく、後半には、テストチームのマネジメントやテストプロジェクトのマネジメント、ソフトウェアテストにおけるキャリアまで書かれている。<P>いままで出版されてきたテスト・試験の本とは異なり、体系的に書かれてはいないが本当に必要な技術・思想などが満ち溢れている。<P>テストとは、ここまで考えてやることなのか、テスト道を究めたいひとにはぜひ読んでいただきたいし、それ以外にもソフト㡊ウエア開発に携わっている方々にも読んで欲しい。