あなたが手にする1冊目のデマルコの著作であれば良いと思います。何冊も読んでいると正直、飽きてきます。拾い読みしましたが、苦痛でした。
~本書では、リスク管理を「大人のプロジェクト管理」と位置付けて、積極的にリスクをtakeしつつ(riskなしでは価値は生まれない)上手に付き合っていくための方法を解説しています。<BR>~~<BR>リスクと向き会うためには、何よりそのリスクを認識しなくてはなりません。まずはリスクを真剣に認識しようとしないために使われる様々な言い訳をひとつひとつ潰してゆくことが最初のステップになります。そこまでだと単なる現実を参照していない啓蒙書になりそうな感じがしてしまいますが、本書ではその後、リスクの定量化・数量化まで踏み込んで解説を加え~~ています。<P>それから、リスク看過ということの本質を語るためか、冒頭に『信念の倫理』という章が置かれ、この部分が非常に衝撃的です。この元になった文章については、英語版はAmazonでも買えるようですが、1章が付録として収録されているので日本語で読むことが出来ます。~
ソフトウェアプロジェクトにおけるリスク管理、リスクテイクの重要性を訴えた素晴らしい本であることは、私も否定しません。 一方、リスクを認識しない(できない?)、あるいはリスクをテイクしない、あなたの上司であるプロジェクトマネジャーに対し、「ご説御尤も、早くこの本を読ませたかった」と、ただ溜飲を下げるだけの本であってはならないと思います。 本書の楽しさ・面白さについ眼が向きがちですが、少し批判的な目で本書を見直す必要があるのではないかと思います。<P>本書の中に効果とコストのトレードオフ(あるいは、感度)分析の章があります。そこで、コストは出来る限り詳細に見積もろうとするのに、効果(価値)になると途端に見積もり精度がいい加減になっている現実を捉えて、「コストと効果は同じ精度であらわす必要がある」という原則が提示されています。 効果予測が仮説に基づく以上、結果としての効果は、その仮説(たち)の品質・精度に強く依存します。この期待された効果が出ないことが、顧客にとってITプロジェクトの最大のリスクであるはず。 このリスクに対応すべく、「仮説・検証のフィードバックループ」を用いた仮説の品質向上、効果予測の精度向上、ひいてはこれによる経営品質改革の重要性について、本書では全く触れてくれません。 デマルコとリスターという超著名なシニアITコンサルタントの本として、この重要な点に全く言及されていないことが惜しいと思います。