「文鳥様と私」という、今市子さんの飼い鳥の文鳥たちが繰り広げる「文鳥模様」を描いた作品も好きですが、「大人の問題」はまるでその人間版といったらよいでしょうか、とにかくテンポ良く、ウィットも効いていて、すっかりハマリました。一巻で完結ですが、もっと描いて欲しかった…
たった一冊で終わってしまうにはもったいないような盛沢山な内容のコミックス。離婚した父親の新しい恋人は実は男で、しかも結構いい男。そんな親の事情よりも自分の恋のほうが気になる大学生の主人公は、そのうちに父親の恋人の兄(既婚者)が二人の仲を邪魔するために自分にちょっかいを出してくるのに巻き込まれ…と、人が人を呼び、恋が家族を解体していく展開のスピーディ感とその手腕にほれぼれするほど。登場人物は数は多いがどれも個性的で書き分けられ、恋人の兄の妻や娘や姉までもが皆いきいきと「生きて」いる。一気に読み終えて思うことは、やはり人生っておもしろいかも、という作者の視線の暖かさだけなのだ。いい人ばかりじゃないけど、誰もが一生懸命。それにしてもこれだけの話を一冊につめ込む作者は本当に、なんというか、…もったいない、である。
「主人公が5つの時、父親の”ゲイへの目覚め”によって両親が離婚した。離婚後も何だかんだで親子3人、家族としての付き合いは変わらなかったのだが、ある日急に父親が”結婚する”と言い出して・・・」<BR>とにかく。始めから終わりまで面白い!何も言わずに1度読んでみることをお勧めします。<P>掲載誌はボーイズラブ(男性同士の恋愛モノ)系だったのだけれど、どっちかというと家族や人との繋がり・絆がメインのテーマのような気がする。こういう作品こそ、心をゆっくり静かに癒してくれる本なのでは・・・?と思います。<BR>純粋に漫画としての面白さを持った、素晴らしい作品です。