内容の濃い人生を送ってきたじーさん5人(詫摩武俊・吉本隆明・藤田元司・小野田寛郎・谷川俊太郎)が、それぞれ糸井重里から語るべき演題(共感性の経験・普通に生きること・気持ちの強さ・そこで生きる力・世間知らズ)をもらって、それにそって話してくれる。やはり、実際にウン十年も生きてきた人たちが経験から語る事は強い。じーさんだけに言葉に勢いがあるわけではないのだけれど、そこには穏やかな主張や人間としての良い意味でのしたたかさが垣間見れる。色々な価値観や生き方があふれる中を生き抜いてきた5人が言わんとしてる事が、人として、とりあえずキチンと、最低限のがんばりを以って生きよう、というシンプルなことだったのが、心に残ります。
吉本のパートのテーマは、「普通に生きること」。 他の講演者の言っていることはわかる。しかし吉本の部分はなんだか分からない。実際の講演はもっと言葉があったのが省略されているのではないか。イントネーションが伝わらず講演がそのまま文章として構成されず載っているので、肯定と否定のニュアンスの違いが伝わってこないのか。 まずマルクスを普通と違うという意味では最も価値のない生き方をした、とする。そして人様々価値観があるが、自分が持っている価値を意味が無いというやつと、自分は意味が無いと思う価値を持っている奴とははっきり対立した方がいいという。が、損をする場合があるから黙って一緒にずっとやれるならそれでいいという場合もある、と。 「金のため」に文学をやる山本一力と、「自己慰安」だとする自身の文学観を対置して、文学が岐路にさしかかってきているのではないかという。そして山本を逆マルクスに匹敵する偉大な文学者?だという。(価値観が正反対ということ) 最後にアジア的国家観と西欧的国家観の違いを、一般の聴衆に向けて啓蒙している。つまり言論統制下の日本とそうでない現在の対比から、聴衆に語りかけている。 書き言葉にしなければ十全とは言えないとこの講演でも語っているとおり、そのまま本にするには無理がある。
2003年9月13日東京フォーラムに、行きました。<BR> でも本になった言葉を読み直してみると、聞いたお話とは違う力を感じます。<BR> 本には現場のドキドキ感はありませんが、純粋な言葉と思想がコンパクトに詰まっていて、別な魅力です。原作本と映画の関係なような。<P> さて内容です。5人の長老達はそれぞれ個性的で魅力的で超一流です。そのなかでも特にお話しがうまいと感じたのは、小野田さん。聞かせます。驚かされます。実体験上では一番大変だったはずなのに、そんな次元を超えた人生を教えてもらえました。それから藤田監督のお話しも安心して聞いていられました。お二人とも姿勢がいい。目線がまっすぐ。<P> 安心して聞けなかったのが吉本さん。車いすが、少しずつ動いていって最後には客席から90度も横を向いてました。熱く語るピュアな心意気は、内容の理解はともかく、心をすさぶられました。<P> 最後が詩人の谷川俊太郎さん。一番心に残っているのは、谷川さんの詩の朗読と唄だった。物語はなくなっても、詩は残るという、糸井さんの解説に納得ししまう体験でした。<BR> <BR> 五人のお話を聞いての感想。<BR> 年寄りの話は聞いとくもんだ。<BR> <BR> もっとリアルを体験したい方は、DVDも発売しているはずです。