これだけ充実した内容の本は、私が知る限りでは、ありません。<BR>どこを開いても骨、骨、骨…筋肉、筋肉、筋肉…。<BR>そこに添えられた必要最低限の説明文。<BR>凄い情報量なだけに、すべてを理解するのは容易いことではありませんが<BR>骨と筋肉等の構造を知りたい、勉強したいという方には最適だと思います。<P>人間の体は、それこそ骨の一本までもが本当に美しいです。<P>ただこれ、初心者向けではないと思うんですよ。<BR>「骨の構造とかよく分かんないけど、一応それなりのモノは描けるよ」<BR>という程度にはデッサンの出来る人が見て、はじめて理解できるものなんじゃないかと。<BR>いくらか写真の模写等をこなした後で本書を見ると、更に理解が深まると思います。<P>(私がそうだっただけで、他の方にしてみればそうでもないのかもしれませんが…)
美術解剖図譜としては最高峰の良書。説明の必要がない程有名な定番書なので、一度はどこかで目にしたことがある人も多いはず。しかし美術における解剖学の本質は、ただ単に形態を記憶すれば良いというものではなく、機能解剖学の地点に立脚し、機能と名称をつき合わせて初めて本質的に理解できるということを日本中の美術家に広くに知らしめ、パラダイムシフトをもたらした記念碑的な書である。同時に知識の欠落が致命的な欠点となる契機を与えた本でもある。とまれ類書に抜きんでており、比肩するものの無い充実した内容であるといえる。ちなみに当代随一の絵描きと謳われる、筋肉イラストレーターの寺田克也氏も座右の書であると公言してはばからない人の内の一人である。