『問題解決』がキーワードになっています。『問題解決』についての本も多く出版されていますが、反面「私はコンサルタントではないからそんな技法は必要ないよ」と考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、『ビジネスの成長』は『現状の問題解決』がなければ達成されません。しかも『現状の問題』は『見える問題』だけでも数多いのに、多様性を認める現代社会においては『見えない問題』はその10倍はあるといっていいでしょう。これだけの数の問題が存在すると、トップマネジメントやコンサルだけでは無理。全社員が『問題解決』に取り組まなくてはならないのです。しかも『問題解決』は仕事に限ったことではありません。残酷な事件が毎日報道される今日においては、その範囲は『家庭』『個人』まで及びます。そしてこれらの主体も『会社』同様、『現状の問題解決』によってしか『成長』できません。その意味において本書のコンセプトは『万人の万人による万人のための問題解決』といえます。現在のような『新ビジネスモデル』が求められている時代には、旧来の手法をそのまま使うことは出来ません。その都度『ゼロベース』で考えることが必要なのです。『問題発見・解決能力』をあなた自身の『コアコンピタンス』にまで昇華させれば、間違いなくあなたの『競争優位』を保つことが出来るはず。類書がある一定の手法(ボストンコンサルティングなら『PPM』、マッキンゼーなら『7S』など)に固執しているのに対し、本書はそのような手法を数多く紹介・比較することによって、それぞれの有用性、使用可能性!、相互補完可能性を示してくれています。従って本書だけでも相当の効果がありますが、本書をステップにあらゆる手法に自身の思考を『拡大』させることが出来ればさらに有効なのは確実です。素晴らしい本です。文庫だと思って甘く見てはいけません。一読することをお勧めします。
問題解決というと、コンサルタント(とくにMBA出身)によるものが少なくないが、異常に難解でとても理解できないものばかり。簡単に理解されたら、商売あがったり、かもしれないが、読者には甚だ不親切だと思う。本書はその点、ものすごく身近な話題をベースに、たとえ話と著者お得意の感動エピソードのおまけまでついてるから、グングン引き込まれていく。著者もコンサルタントらしいが、いつも難しいことを易しく、易しいことを楽しく、楽しいことを深く述べている点を高く評価したい。元気が出る問題解決本だ。