このエッセイは、リリーさんの目からみた「女性」というものが、よくも悪くも冷静に、鋭く書かれています。わたしはあまりイマドキの女子ではないので、「男の人ってこうかんがえているんだぁ」というよりも、そんな女もいるんやろなぁ、ほんでこう思われてるんやろなぁ、ととても客観的に面白くよみました。いったい何人の人間を見たらこうも冷静に見られるのか。いや、数の問題ではないかもしれない。15歳から1人暮しをし、数え切れないほどの人間と出会い、静かに見つづけてきたリリーさんだからなのかなぁ、と思います。ちっちゃなことも見逃さない観察力と鋭いツッコミ、独自の哲学による不思議ワールドには、くせになりそうな魅力があります。 ananの特集に記されていた「アバンギャルドな横分け」というコピーに鋭く反応したり。女性が下あごを突き出して腋毛を抜いている様子を、執筆中の松本清張のようだ、と「清張の時間」と言ってみたり(鼻毛を抜いている時は研ナオコのマネをする清水アキラになぞらえ「研の刻」と…)。 かと思えば、すごくロマンチストな一面も見えます。別れた彼女に、自分があげた35万の時計を売られても、「新しい彼氏の前で自分が似つかわしくない時計をしているのがツライ」と言った女性をステキだと言ったり、「お金がないなら働くわよ」という女性より、「いいじゃん貧乏でも」という女性が魅力的だ、と言ったり。 あふれだす名言と、奥の深い人間観察が読みやすい文体で描かれており、一気に読めます。そして人間ってかわいいくて面白いなァとしみじみ思える1冊です。
この本は、リリー産人生論を多く語った一冊に仕上がっていると思う。リリーフランキー氏の人生論、男女論的な内容。ここで、注意していただきたいのは、「的」っという点である。この本の内容は、この本を手に取った人によって変化してくる。だから「的」なんて曖昧で適当な言葉が良く似合う。そしてこの一冊は新しい視界を開いてくれると思う。目がいいヤツが眼鏡っ子にあこがれていて、いざ自分も眼鏡っ子になった時には「あ、眼鏡のふちの所の距離感が変」みたいな初めてわかる感覚。また、J-WAVEのTR2のリスナーなら園田さんの写真が隠れキャラ的な感じでさり気無く掲載されているので、そんなコアな魅力も満載!!!
男から見た女、女自身には見えない女の性がはっきりと理解できる傑作の一書。すれ違いの多いカップルは彼女に贈本し、女心に悩む諸兄はバイブルとして購入することを勧める。リリーよ良くもここまで言ってくれた!と拍手を送りたくなる痛快エッセイ。