原書の内容は評判通りなのでしょうが、翻訳文がまるで直訳調で非常に読みづらい。一度で理解できない文章が多く(内容の難解さによるのではなく、不自然な日本語のゆえに)、ふつうに読み進めることができません。すらすらと読めるのは、あらかじめ内容についての前知識がある人だけではないでしょうか。ということで、二つ星は翻訳のゆえにつけた評価です。
2004.1現在、2003年中にちょくちょく目にしたBLOGに興味を持ち、日本国内の商用サービスを使いながら、試運転を開始しつつあるところ。また、どうも、日ごろ個人的に目にする日本のサイトと、アメリカからやってきているBLOGとかウェブログとかの関係がよくわからない。このあたりで、まとまった参考文献を読んで、経緯を理解したい、何ができるのか知りたい。そのような思いで、アマゾンしてこの本を手にとって、今、読み終わったところ。このレビューの表題に掲げたように、「訳者あとがき」は日本の状況にひきつけて、原著者の論点やアメリカでのウェブログの経緯を論じていて、身近に感じてわかりやすかった。最初に「訳者あとがき」を読めばもっと切実なものとして読むことができたなあと思う。原著者のスタンスは、技術的解説は最小限にして、ウェブログを通じて自分なりのネット上での出版、意見表明活動をしていくことは生活の中でどのように位置付けられ、自分にとって有益な形でその活動をするうえで、どのような注意点があるのか、どのような考え方でオプションから選ぶのか。ということが様々な実例を交えながら、判りやすく記されている。BLOGとは・・というよりも、そもそも、インターネット以降個人が手にすることが可能となった「発表」の手段を活用していくには、どのような点に留意するべきか。というところまで踏み込んで書かれており、わかりやすい。ウェブログにせよ、個人ホームページにせよ、進めるうえで迷ったり、悩んだりしたときに、一瞥したい一冊である。
最近、ウェブログの動向が激しくなっている。さまざまなサービスが目白押しである。当然ながら「ウェブログとは何なのか」を解説した文書が多く目に付くことになるが、ビジネスを意識したその手の文書は多くの場合、書き手の都合の良いようにねじ曲げられがちだ。そんなとき、その真偽を確かめる方法を教えよう。それは、その文書が本書をベースにしているかどうか、だ。ウェブログ・ムーブメントの初期からその歴史を体験し、あくまで一人のウェブロガーとして活動し続けている著者の言説は、決して読者を都合の良い方向に誘導することなく、客観的で、それでいて当事者としての熱意を併せ持っている。ウェブログについて語るなら、まず本書を読んで、共通の言語を身につけてからにすべきだ。こうして優れた翻訳が出た今、それやらないのは怠惰である。もちろん、これからウェブログを始めようとする人、すでに始めてしまった人にも、強くお勧めできる。単なるツールの使い方ではない、ウェブログを続ける上でもっとも大切なことが、本書にはぎっしり詰まっている。これを読んでおけば、ウェブログ・コミュニティに踏み出す最初の一歩が、とても楽になるだろう。本書が、日本で最初のウェブログ本でないのが不思議でならない。それにしても驚くのは、日本のWeb日記やテキストサイトがたどった歴史を、ウェブログがみごとなまでに同じようにたどったという点だ。日本の状況については訳者によるあとがきで明らかになっているが、国境のないインターネットで、ここまで同じことが長いこと交わることなく進行していたというのは、にわかには信じ難いほどだ。そして今、日本のテキストサイトとアメリカのウェブログは、その文化を交える段階に進んでいる。実に心踊る時代ではないか。