「情報」に関する様々なエピソードで構成されており、雑誌を読むような感覚で楽しめた。著者の主張はあまり目立たせずに、その代わりに数多くの事例や名言を掲載することで、読者に「情報」について再考察を要求しているように感じる。途中ネイサン・シェドロフの「理解の外観図」を紹介して情報とデータの違いを説明したり、ヒュー・デュベリーの「インターネット検索のコンセプト」を紹介して情報を見つけるプロセスの図示化の研究例を考察するなど関連の研究者の研究内容も掲載されており、学問としての「情報学」についての理解を深めるには有用な書籍であった。
この本が役に立つかどうかはわからないが、「情報」をテーマにした面白い話が書いてある本だ。とても楽しめた。著者の目の付け所と高度な表現力が面白い。<BR> 例:自動車は部品がどんどんコンピュータになっているが、逆にコンピュータは行きたい所へ気軽に連れて行ってくれる自動車のような存在へ近づいている。
5つの究極の整理棚のように、基本的な情報の整理の範囲においては指南書と成り得るかもしれない。だが、後ろのほうの章にいくにつれ現代社会の情報の行き交い方の問題点は指摘しているが、指摘に対する明快な解決法が乏しくなっていき、指摘の域を出ていない。<P>それにこの書籍は元々が複数の既刊の内容を一冊にまとめたものなので、一見すると豊富な内容で盛り沢山という印象を受けるが、よく読み進めると事例として取りあげている事が少々時代遅れだ。現代社会の情報を整理するという意味では、この事例の古さに沿った考え方では追いつかないだろう。情報の整理というものには普遍的な手法や考え方もあるかもしれないが、コミュニケーションデザインという事柄の性質上、現代社会の事例に沿った問題提起とそれに対する明快さがともなった指南がなされていない点がかなり気になる。この本に書かれてある事を活用していくには読み手のリテラシー能力が大いに左右するだろうし、著者のリチャード・ソール・ワーマンは別として、それに対応出来る人達というのはそれ程多くないのではないだろうか。