ここで扱われているHIPHOPとは単なる音楽ジャンルのHIPHOPではない。<BR>ラップ・グラフィティ・ブレイクダンス・DJといった4つの要素がブラックカルチャーから芽を出し、<BR>アメリカという土壌に根付いて社会を侵食したのちに世界を覆い尽くすほどの枝葉を広げつつある、文化や現象としてのHIPHOPである。<P>小さな街角で生まれたHIPHOPはなぜHIPHOPのまま成熟することが出来たのか、何がHIPHOPをHIPHOPたらしめたのか…<BR>アメリカの抱えた様々な問題をHIPHOPというフィルターを通して見ることで分かりやすく、深く理解できるだろう。<P>白人でありながらHIPHOPを長年追ってきたという著者の文章とHIPHOP事情に詳しい訳者の仕事が非常によく噛み合っていて、<P>HIPHOPファンはもちろん過去の音源を追うDJ諸氏や異文化研究を目的とす人にも非常に読み応えのある本に仕上がっている。
やばい!いつの間に出てんだよー!うれしいぜー!<BR>これは初めてこの本を目にした時の感想だ。<BR>以前に英語版を買ってはいたのだが、英語ということもあり、なかなか手をつけれずにいた。<BR>この邦訳版は英語版にはなかった訳者の撮った写真が掲載されていて、とても読みやすくなっている。<P>著者であるネルソン・ジョージは、『リズム&ブルースの死』で有名であり、ヒップホップとの関わりは一見ないように思える。<BR>しかし彼はヒップホップ発祥の地ブロンクスに生まれ、そこで育ち、創世記から現在にいたるまでヒップホップカルチャーに携わっている人物である。<BR>ジャーナリストである彼の展開するヒップホップ論は説得力に満ち溢れている。<BR>これを読めば、ヒップホップに対する認識は必ず深まるはずだ。