一見学術書であり、気取った書店の気取った戸棚に置いてあっても違和感が無い。編集意図もそこにあるのか、ファミコンカタログとして楽しめるものでもない。<BR>だがここで、卒業アルバムを思い出して欲しい。そこに映るは集合写真と、自分とはほとんど関係のないような写真、そして当時の時事ニュース一覧が大半であろう。<P>しかし、それを当時の友人らと一緒に見たときに思い起こされるは、そこに自分がいたという記憶、その頃の思い出。<BR>同じ時や経験を共有したもの同士でともにこの書籍を見た時、そこに記された情報量以上に自分の記憶から掘り返される思い出の多さに驚く。<BR>これはいわば一種のタイムマシンである。
Best Famicom book ever! English friendly too! Nearly every page is translated...
率直に言おう。ほぼ同じ時期に、ほぼ同じ内容で出版された書籍に、三才ブックスの『ファミ・コンプリート』がある。手に取ればあきらかだが、書籍としての完成度は、こちらのほうが勝っている。入念にデザインされた装丁、図録同様に気を配って撮影されたファミコン・ソフト。20年経ってまさにファミコンは文化になったのだな、と納得させる力がそこにはある。<BR> 正直、本書も『ファミ・コンプリート』も、データベースであったり、アーカイヴとしては、ひどく不完全なものだ。だから、そういった目的でなら、きっとどちらを買っても不満に思うだろう。しかし、おおかたの人はおそらくそういう買い方をしない。思い出に浸ったり、友人と眺めて笑ったりするのだろう。それならば、この『ファミリーコンピュータ 1983-1994』を買った方がよい。書籍としての完成度が違うからだ。<P> だが、個人的には、ずっとサブカルチャーを支えてきたような三才ブックスのような出版社にがんばってほしいし、ファミコンをいわゆる「ハイ・カルチャー」にはしてほしくない。美術館のガラスケースに収蔵されるようなモノにして欲しくない。果たして「上」がどのように考えているのかはわからないが…。まだまだファミコン関連の書籍、出てくるであろうから、追いかけていきたいと思っている。