九龍城塞は、日本人観光客の「恐いもの見たさ」の産物でもなく、中国マフィアの暗躍する魔窟でもない。まして廃虚でもない。今を真剣に生きる人の生活そのものなのだ。この本に登場する人々は、それぞれの人生を真剣に生きてきた。今、彼らがどうしているのか。考えると胸が痛む。歴史の中で抹殺された悲鳴を、どうか聞いて欲しい。彼らの九龍城塞での日々を、記憶の片隅でいいからとどめて欲しい。
廃虚好きには伝説のように語られていた本の再販らしい。さすがに凄い本。<BR>九龍城は、100×200メートルの敷地内で無秩序に増築 取り壊しを繰り返し、複雑に入り組んだ生きた廃墟 のような様相を作り出した場所。<BR>九龍城関連の出版物はモノクロが多いのだが、この本はほとんどすべてカラー。絡まり合った配線、パイプ、看板、コチェコチェ好きにはたま らない。それに加えて、九龍城に住民のインタビューが満載。歯科医、音楽クラブメンバー、漢方医師、救世軍幼稚園、牧師、定規製造者などなど。一人一人の証言から立体的に九龍城の姿が浮かび上がってくる仕組みだ。
City of Darknessは以前から欲しいと思っていた本でしたが現在絶版のうえに希少価値が高くとても高額で手に入らなかったのですが遂に日本語版が出版され 嬉しい限りです。九龍城を取り上げた写真集はいくつか出ていますがモノクロや無人の廃墟となった姿の九龍城の写真しか見たことがありませんでした。この“九龍城探訪”は殆どがカラー写真でそこで生活している人々がリアルに活き活きと写しだされています。魔窟と謳われていた事がうそのような印象を最初に受けましたがやはり迷宮、退廃は見られます。 <P> この写真集は九龍城砦の真実の姿が見られる貴重な資料だと思います。