「ER」の第8シーズンまでと「ザ・ホワイトハウス」第2シーズンまでとをめぐる特集を中心に据えた、米国TVドラマのムックです。なかなか読み応えがある一冊、というのが率直な感想です。出版は2003年10月。<P> 「ER」に関していえば、8年間の同シリーズの流れを各シーズン2頁ずつで簡明に紹介しつつその見どころをずばりと衝いています。なるほどそういう風に見ていくのも鑑賞法としては十分ありうるなと強く納得させられる文章です。<P> 主人公グリーンとルイスをアテている二人の声優が6ページに渡って対談していますが、これも興味深い裏話エピソードが散りばめられています。<P> 一方「ザ・ホワイトハウス」については、日本語版の監修を担当しているNHK解説委員の平野次郎氏のインタビューを興味深く読みました。氏自身がホワイトハウス担当記者だったのは1970年代のことなので、必ずしも氏の実体験がこのドラマが制作されている現代にも当てはまるとはいえませんが、それでも日本の視聴者に少しでも分かりやすくこのドラマを提示しようと心を砕いている様子が見て取れて好感が持てます。<BR> プロデューサーとして名を連ねるジョン・ウェルズに関する小論が掲載されているのも注目点です。彼自身への直接インタビューはかなわなかった様子ですが、それでも、裏方のトップともいえる制作者について知る機会は決して多くはありませんから、飽きることなく読めました。<P> グラビア写真的なものはその数を意図的に抑え、むしろドラマに関する小論集で読ませるという編集方針でのぞんでいます。ですからどちらかというと両ドラマのかなりコアなファンを意識した一冊といえるでしょう。
今まで出ていた海外ドラマ関係のムックはスターのグラビア中心で取り上げるドラマも「ビバリーヒルズ~」のような青春ものが多かったが、この本はかなり渋い知的ドラマばかりを取り上げていて読み応えがある。「ER」はまさに8年間の集大成的特集だし、「ザ・ホワイトハウス」もこれだけ取り上げたものははじめてだと思う。日本語の監修をしている平野次郎氏のインタビューは苦労が伺えて面白かった。他にも「CSI」「24」のようなビデオでも見られる作品に加えてCSでしか見られないが問題作である「ザ・シールド」「OZ/オズ」のような作品も取り上げてるのも特徴だと思う。海外ドラマファンならかなり楽しめるはず。今後も続刊を期待。