タイトルからすると猟奇的なサスペンスかそれとも官能小説かと思ってしまうのだが、これはフィクションであるらしかった。確かにノンフィクションにしてはチープだし、でもフィクションにしてもどれだけの資料が開示されていたのだろうかと頭をひねってしまう。<P>性描写だけでいうなら満足もするだろう、ただ心の葛藤や風景がまったくみえなく定点でしか見えてこないのがなんとも居心地が悪い。登場人物の隣の大学生の気分のようだ。これならばノンフィクションとして仕上げてもより味わえるものとなったろうにと感じる(もちろん著者はそう思っていないのだろうが)。<P>男がもつ欲望の汚さを認め、飼いならされる女子高生に共感を得るかどうか、は読者次第。<BR>この事件に嫌悪したマスコミはおそらく嫉妬!もあったとは思う。
解説の浅山氏が「本書で扱われている事件はもう何十年も前の話である」と明かしているのだが、少女は男にブック型ワープロを買ってもらい、監禁された部屋で日記を付けている。時代設定は、何十年前ではなく著者の執筆当時に変更されている。ノンフィクションとなっていたが、事実そのままを書いたのではなく、プライバシー保護の為多くの部分を隠し脚色を加えたノンフィクションノベルと呼ぶべき作。大くを占めているのは男と少女との性的描写で、ストーリーのしっかりした官能小説といった印象。<P> 女の目で読むと、これほどまでに自分を愛して誠心誠意つくしてくれる男と生活すれば、憎むべき相手でも微妙に心が動く可能性は否定できないと思う(ただし、親を捨てられるのかという点は疑問)。罪は!けない事だが、男が女に優しく接する方法に関してだけは、多くのヒントが散りばめられていると思った。