Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974 みんなこんな本を読んできた Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974
 
 
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Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974 ( 斎藤 裕 )

バラガンでばっちりやってくれた斉藤裕氏が、なんと今度はルイス・カーン。しかもいきなり住宅から来ました。斉藤氏の写真のいいところは、いい意味で建築写真的ではないところです。風景の中に建築を置いたり、空間全体の雰囲気を撮ってくれる。このルイス・カーンの住宅作品写真集では、その手法がさらに生かされている。最初に掲載されているコーマン邸では、雪の降り積もった大地の彼方の住宅を正面から撮っている見開きから始まる。次のページは住宅に近付き、斜めから青い影を画面下に置いて撮影(見開き)。次は樹木と芝生の中の住宅を別アングルから撮影(このコーマン邸のページを書店で見て、買うことに決めた)。こちらが“こんな風に見たいな”ということを、きっちりと写真集の中でやってくれている。しかもカラー写真が多い(というよりオールカラー)。よく建築写真本で、これをカラーで見せてくれよ、というページがあるけど、斉藤本ではその欲求不満を抱かなくていい。むしろ“見る気持ち良さ”を連続して与えてくれる。この本の最初のカラー写真も、氷結した水面に落ちたみぞれの光と影だった。そういう芸当をやってくれる斉藤さんに1票。

キンベル美術館における光の扱いや、ソーク生物研究所の<BR>美しい中庭が印象的な、ルイス・カーンの住宅集。<P>建築論では難解な部分も多かったのですが、この本において<BR>彼の家に対する思想が十分に感じとることができました。<BR>また、ソーク生物研究所において、ルイス・バラガンに相談を<BR>したことは有名ですが、そのいきさつについても書かれていたり、<BR>ノーマン&フィッシャーによる出会いから製作過程なども<BR>掲載されていて、とても読み応えのある本だと思います。<P>彼の素材に対する思いや、空間の構成は詩的で美しく感じます。<BR>ルイス・カーンが好きな方にはぜひ、お勧めしたい一冊です。

いままで紹介されることの少なかった住宅の丁寧な写真が載っています.また多く紹介されてきた住宅の写真も季節をかえて載っていて、別の表情を見せてくれています.外壁はきれいになっています.でも相変わらず紹介されない部屋もあって残念.家具や建具などディテール写真ももっとほしい.カーンが何年もかけた住宅のすばらしい部分、すばらしくない部分も知りたい(斉藤さん、実は撮ってるでしょ?).そういう意味ではもの足らないかな.鑑賞のための絵になる写真で、鑑賞のための本です.何遍でも鑑賞しちゃうけど.<BR>それからいつも思うけど、見開きページの写真ってやめてほしい.何考えてるんだ?

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Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974&nbsp;&nbsp;&nbsp;フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエら、近代建築のいわゆる巨匠の時代が終わったあと、彼らの影響圏から離れ、真に独自の建築を作りえた「遅れてきた巨匠」ルイス・カーンの住宅作品を集めた本である。カーンの代表作と言えばキンベル美術館、ソーク研究所など比較的大型の建築の名が挙がるだろうが、しかしカーンがこつこつと作り上げた住宅はそれらに勝るとも劣らぬ魅力を持つ。キンベル美術館のような傑作が重要であることは間違いないが、たとえばフィッシャー邸やエシェリック邸を抜きにしてカーンという建築家を語ることはできないだろう。しかしこれまでカーンの住宅作品についての十分な日本語の資料はなかった。多くのカーンに関する書物がその住宅作品についてはせいぜい小さな図面と写真数枚を紹介する程度で、バランスに欠ける傾きがあったことは事実であろう。こうした不均衡を一気に解決する1冊である。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;カーンの住宅に接近するためには、とりわけ図面を参照しながら時間をかけて読み解くことがどうしても必要になる。その緊密なプロポーションの構成、思慮深く練り上げられた空間の充実、そして年月を経て現在もなおみずみずしさを失わないマテリアルの取り合わせ、どれをとっても表面的に眺めるだけではとらえることのできない深さを持っている。四季折々の豊かさを見せる美しい写真とともに各種の図面が丁寧に折り込まれ、たとえばフィッシャー邸ひとつのために実に60ページを費やすという、まさに徹底的なドキュメントである。一つひとつのページをめくるたびカーンの建築の圧倒的な密度にあらためて驚かされるだろう。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;同時に感嘆せざるを得ないのは、建てられてから50年近くを経たカーンの20件の住宅が丁寧にメンテナンスされて今もなお美しい姿を保っていることだ。そこには確かに愛されている建築の姿がある。多くの建築家の住宅が歴史に翻弄されあるいはトラブルに巻き込まれ、残念な姿を見ることは決して少なくない。しかしここに集められたカーンの住宅の状態の良さには驚くべきものがある。とりわけフィッシャー夫妻が建設当時を振り返って語るコトバは建築の幸福とでも言うべきなにかを雄弁に物語っているだろう。カーンはそれを与ええたし、彼らはそれを享受できた。そして本書において、読者はその片鱗に触れることができるはずだ。(日埜直彦)
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