従来心の問題は、その原因の多くを純粋に心理学的な側面として捉えられてきた。今なおその議論は有効であろう。本書では心が生み出すさまざまな不適応を、脳の機能障害に起因するものとし、実地の臨床研究データに基づき証明しようとしている。憂鬱、不安、怒り、強迫(こだわり)など、誰もが日常的に経験するであろう心の問題解決に、独自の処方箋が与えられている。いっけん取り付きにくい感じもあったが、読み進むにつれて引きこまれていった。ただ心理カウンセラー的なアドバイスを望む向きには違和感があるかもしれません。専門用語が少なからず出てくるのは本書の性質上仕方ないかも。ただ英語そのものはそれほどむつかしいものではないので、中級レベル以上の英語力があって、内容的に興味があれ!スラスラ読めると思います。
まず英文が読みやすい。簡潔明瞭で、難解な専門用語が最小限度に抑えられているので、辞書を引く回数が少なくてすらすら読み進めます。<BR>患者の具体的治療例が問題部位とそれに対する使用薬剤とを紹介してくれている事で、現在問題を抱えて病院に行こうか迷ってる人、実際通院している人両者にとって、とても心強いアドバイスになると思います。<P>著者や、彼の実子の問題についても率直に書かれてあり、同じ問題を持つひとや親の立場からも励まされる情報が得られる嬉しさがあります。<BR>薬剤を使用したくない人にとっても、薬剤を上手に使用するメリットの説明とともに、薬剤なしの自助的治療法も具体性があってとっても実行しやすいのが有難いです。
「脳科学」が今面白い。脳のマッピングが可能になってから、人は人間自身の中にある最大の謎の部分である脳にそのメスを入れるようになった。脳を科学的に分析する事で、メンタリズムの部分がないがしろにされるのではと恐れている人はその考えを改めて欲しい。脳の中にメスが入れば入る程に、脳が如何に人らしくある事を求め望んでいるか分かるような感じがする。特にこのエイメンdoctorの本は脳に障害を持つ人に酷く優しく暖かい視野から書かれている。何年もの氏の経験と、スペクト検査の結果とを結びつけた経験に基づいたわかりやすい脳と心の相関関係を説いた本である。しかし、脳科学はあくまで脳科学なのだ。早く一般の医療の現場にもこうした脳科学の結果が反映される事を願う