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若者が『社会的弱者』に転落する ( 宮本 みち子 )

この10年、新卒の採用・教育に関わり、<BR>さらに実生活では子供が就業可能年齢に近づきつつあり、<BR>公私共に実感していたことがズバリと裏づけられた也。<BR>特にこの3年ほどの「急降下」ともいえるほどのイヤな状況が、<BR>もっともっと堕ちていくであろう予感に暗鬱。<BR>納得本だが、暗鬱分で星2つ減。

著者は教育学部に力を注ぐ千葉大学の女性教授で本書は大変薄く安価であるにもかかわらず、必要十分に主張と根拠と提言が述べられる。1ページを無駄にするところの無い経済的な1冊である。よくある若者への勘違い的な迎合でもなく、「いまどきの若者は」的な論調でもなく、極めて構造的な自然の結果として「今」があることを著者は説得力あるデータと考察で展開する。こうした地に足の着いた主張が真に若者を擁護するのではないかと思う。

 本書の結論を簡単に言えば、フリーターが増えている最大の要因は社会経済的なものであって、若者の怠惰・無責任が本質的な要因ではないということになる。本書では、社会学の立場から、現在若者が直面している深刻な事態を多くの詳細なデータを駆使して分析し、安易な印象論によって若者を論じることを峻拒する、刮目すべき一つの調査である。

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