ゾンビ映画に焦点を絞った労作。可能な限りのゾンビ映画をリスト化し、しかもそれに解題をつけている。ここまで徹底したものは、おそらく、海外を探しても存在しないのではないか。そのような意味では、これはもはや、研究成果というべきものであろう。
傑作から駄作まであらゆるゾンビ映画を紹介しつつ、ジャンルの歴史と変遷を一冊の中で語り尽くしている。今後、本書を参考にした類書が出版されることはあっても、ボリューム的、内容的に本書を超えるものは恐らく出ないだろう。どれだけ著者が意図していたかは知らないが、出来不出来を問わず全てのゾンビ映画を紹介するという編集姿勢は、結果的に世界中のB級映画人の活躍を伝えることになり、それがまた80年代スプラッタ・ブームの総括にもなっている。ゾンビ映画、ホラー映画、B級映画に興味がある方なら、まず買って損はないだろう。
編者の伊藤氏が以前に自費出版した「NOTEBOOK OF THE LIVING DEAD(ゾンビ手帖)」の<BR>改訂増補版とも言える本。<BR>前身の本より索引などを見やすく編集した部分が、より資料性を高めている。<BR>誰もが知っているメジャー作から、海外でのみひっそりとリリースされた<BR>マイナーな作品まで、古今東西のゾンビ映画がくまなく網羅され<P>その筋のファンなら必読と断言できるだろう。<BR>取り上げている各作品は内外を問わず、極力ビデオパッケージを掲載し、<BR>ゾンビ映画のジャンルに関するコラム的読み物も充実している。<P>前身の「ゾンビ手帖」は98年の作品までの収録だったのに対し、<BR>こちらでは2002年公開の『バイオハザード』までフォロー。<BR>データもスチールも大幅にプラスされている。<P>反面、「ゾンビ手帖」のひとつの売りだった、ロメロ監督作『死霊のえじき』<BR>オリジナル脚本の再録が削られてしまったのはなんとも残念……!<BR>とは言え、今後これだけまとまった、体系的資料は他社からは出ないだろうし<BR>ゾンビ映画愛好家なら一家に一冊は置いておきたい。労作です。