我々が理解できない中国人の行動や思考原理について、非常に明快に説明されている。明快なので、にわかに信じがたいほどだ。中国人とつきあう人には是非一読をすすめたい。読んでいて思わず笑ってしまうこともあるだろう。
書店でふと手にとって、パラパラとめくった後、買って見ましたが、実におもしろい。<BR>中国に関する積年の疑問が、いくつか氷解しました。<BR>もちろん、著者の主張のすべてが正しいとも思ってはいませんが、万巻の漢書を読まれた著者のこと、そこいらの付け焼刃で中国を語る評論家連中に比べると、学識の深さが違う(たぶん)ので、説得力があります。<P>おもしろ過ぎて、逆に眉唾に思えるところもありますが。
本書は1997年にクレスト社から出版された『妻も敵なり』の改題・改訂版です。海を隔てた隣国・中国と中国人の行動原理を知るためには必読の書と言えるのではないでしょうか。私たち日本人が中国と中国人に対して持っている能天気なイメージが完膚なきまでに崩され、衝撃的です。また、中国人から見たら、如何に日本人が間抜けで、お人好しかを痛感します。人に親切(最近はあまり当てはまらないかも?)で、義理人情にある程度理解を示し、騙すよりは騙されて堪えている、といった日本人像は個人的には愛すべき存在だと思いますが、ビジネスや政治で中国と係わり合いを持たざるを得ない方々は何としてでも中国に伍していかなくてはなりません。そんな人にお勧めの本です。<P> 中国人の行動原理の根本は「指桑罵槐(しそうばかい:桑を指して槐を罵る)」だと著者の岡田氏は指摘します。中国人は如何なる時も表立って当事者を直接批判することはないそうです。つまり、ある相手を攻撃しているようで、その実は別の人間を批判しているのです。例えば、1996年3月の「中台危機」が挙げられます。台湾の総統選挙を牽制するために中国軍が台湾対岸の福建省で大規模な軍事演習を行い、台湾海峡の緊張が一気に高まりました。アメリカはこれを受けて空母2隻を派遣したという事件です。<P> この真相は中国軍が江沢民指導体制に突きつけた挑戦状とのことです。鄧小平の死を目前に控えつつも江沢民は完全に権力を掌握していませんでした。台湾統一は中国の国是ですから、軍がデモンストレーションを行った以上、江沢民はそれ以上に強硬な姿勢で「台湾統一」を叫ばざるを得ません。中国では弱腰を見せることは政治的死だからです。江沢民は演習に足を運び、兵士らを激励しました。こうして江沢民は軍に屈したので、軍事演習は尻切れトンボのように総統選挙の3日前に終結したのです。<P> 読めば読むほど中国人の不可解さが際立ちます。