野口悠紀雄がおすすめする本ということで、購入した方も多いと思う。<BR>小説の書き方に関して今までにない示唆が多い反面、作者の表現が、アメリカ人でなければわからない固有名詞で埋め尽くされている関係で、日本人の私にはまるでイメージがわかず、洋書の宿命とはいえ、消化不良気味になった。<P> 問題は63歳の翻訳者である。古い表現を好む彼に罪はない。出版社はどういう経緯で彼を採用したのだろう。今までの訳書がヒットしたから続投という判断なら失敗である。この作品は「文章オタク」も読む。<P> しかし、内容はいい。<BR>S・キングのような先生に作文を教わりたかった。<BR>アル中でヤク中だった先生はロックミュージシャンみたいではないか。<P>要点を箇条書きしたような小説作法本が多い中、この本は熱い。
みなさんが指摘されている翻訳については全く同感。<BR>翻訳家個人の「作家」としての意識や基礎知識ではなく、キングの素の言葉を作法として使うことが一番の要点。<BR>しかし、キングという人が何故こんなに面白い作品を世に出してきたか?<BR>物に埋もれた中からの「書いてみようかな」的な発想じゃなくて、ないところからの「書く」という行為である。<P>キングの生い立ちを読むほんの最初の行数を経て、やっぱりこの人は作家なんだと思うのだ。<BR>近年ネットなどで小説という項目をつけて人に読ませている人が多いと思うが、誰かの小説の読んだままの影響と勢いで書いたのを見せるのじゃなく、<BR>その前にこれを読んでみて「知る」ことを。読み続けることの楽しさを、<P>書き続けることの快楽を、キングの文章講義によってはっきりするのだ。
私は、仕事が嫌になったり、憂鬱になったりしたときに、小説を書いて生活する自分を夢見ることがあります。そんな夢に形をあたえ夢見る時間を長引かせてくれる作品です。この作品を読むとキングという人が変人や偏った考えの人ではなく心正しき人ということがわかります。自伝や小説の書き方といった<P>具体的な事柄を通してキングが自らの小説観、人生観、を語ってくれるので面白くて、ためになる本です。