会計士という珍しい職業。<BR>会計ミステリーというおそらく初めてであろうジャンル。<BR>短編のすべてにトリッキーな展開とカタルシスのあるラスト。<BR>どれを取っても現役の会計士とは思えない完成度の高い作品です。<P>読みやすさを重視した台本のような文章には好き嫌いが出るかもしれませんが、会計トリックの内容が濃い分、私はこのようにシンプルな方がこの作品に合っていいと思います。<P>この本は高度な会計トリックを扱っているにもかかわらず、会計を知らない者にとっても面白いのは、「萌さん」と「カッキー」という二人のキャラによる漫才のような掛け合いであるという点であり、それがこの本の最大の勝因ではないでしょうか。<P>
かつて私は、弁護士や警察官、検事はドラマになるけれど、会計士なんぞは書類と向き合って、クライアントと事務所の往復しかなく、ドラマになるような素材はない、と思っていました。<BR>現に、映画やドラマに会計士は主役として出てくることはなく、脇役や三枚目くらいしか見たことがありませんでした。<P>でも、この本は私のそんな思い込みを打ち破ってくれました。<BR>謎解きものとしては未熟な面もありますが、会計士の仕事の小説化という、今まで誰もやらなかったチャレンジ精神を評価したいと思い、星5つとしました。次回作にも期待したいです。
登場人物の二人の対話により物語は進み、会計に興味がない人でもすぐに読めるのではないだろうか。内容は初級から中級ぐらいで、難しい専門書を読んでいる人には退屈かもしれない。