提案することを徹底的に掘り下げた本。前提となる考え方から実行まで、ここほど深くかつ詳しく書いた本は他にない。著者が業務を通して気づいたことを書き留めたような内容で、類書で「そこを教えてよっ」と思ってしまうポイントに答えてくれる。<P>本書のコアは、「論理的か否かは相手が決める」という考え方にある。例えば、自分は論理的に説明しているつもりなのに、相手はまったく理解してくれないと嘆く人が結構いる。これがなぜ起きるのか。それは、「論理的」、本書の定義で言えば「話がちゃんとつながっている」状態とは、話を聞く人の立場や価値観によって異なるからだ。だから何か説明する時には、相手が論理的と感じられるように話を組み立てなければならない。単純なことだが、実行できている人は少ないのではないか。<P>そのような前提の下、どう話を組み立てるか、どう相手の疑問に答えるかが深く考察され、会議のやり方と資料作りという実践的な内容が続く。どの項目も具体的且つ実行可能な内容であり、何度も見直して体得したいものばかりだ。日頃から「なんで私の話は理解されないのだろう」と悪戦苦闘している方なら、そういうことだったのかと目からウロコが落ちるに違いない。過去の文献をまとめ直していることが多い類書に比べ、著者の体験に基づいてあらゆる方向から解説されており納得感が高い。<P>問題解決をテーマとした続編も出るようだが、最初のテーマに「提案」を選んだところに著者のポリシーを垣間見ることができる。それは、企画や戦略立案は第一に「通す」ためにあるということだ。相手に理解され、承認されなければ何の意味もない。全てはそこを目指して行われるべきということなのだろう。続編にも期待したい。
30歳というとても若い著者の本です。<BR>株式投資を行っているので元気銘柄が多い若い経営者に関心はありますが文筆の世界にもこういう人が多く出てきて欲しいですね。
氾濫する”論理的思考力”本の中にあって、著者の主張は明快である。<BR>即ち「Logical Thinkingはあたりまえ。実践しろ!」である。<BR> 確かに、論理的思考は本を読んで受身的に身につくものではない。日々の限<BR>りない実践の中で身に付けるものである。この考えが本書の根底に流れている。<P> だからこそ著者は、個人の経験則やヤマカンといったものにも光を当て、そ<BR>こから仮説・検証のチェックを経て、的確に人に伝える手法を、我々ビジネス<BR>パーソンの実践に沿う形で書き進めていく。<BR> ゆえに、「なるほど、そう考えると論理的思考になるんだ」と思って二度と<BR>読み返さないような”論理的思考力”本とは違い、この本は、日々の実践の中<P>で逐次手にとり、自分の仮説・検証や伝え方が適切で漏れがないかチェックす<BR>るためのものである。<BR> 換言すれば、もうすでに論理的思考なんてできる人々の、実践の場における<BR>良きツールである。<P> 論理的思考を謳う本は多い。しかし、この本のように、その思考をビジネス<BR>の実践の場に結びつけることに成功している本は意外と少ない。<P>そんな意外性に気づかされる良書である。