哲学という少し近よりがたい名前に接してみると、そして手にとってみるとたくさんの「発見」に出会えると思います。その発見は何気ないものかもしれませんが、いつかきっとこころの中に和音となって響いてくれると思います。読み進めている時からもう、メロディーになるかもしれません。<P> 著者の人間性に触れ、思わず微笑んだり、涙したり、自分を見つめたりと自然と哲学の中に引き込まれて行きます。<P> 「哲学とは何か」という問いに多方面から答えてくれる、そんな貴重な一冊だと思います。
常々本はあまり読まないと言っていた、昔野球をやっていた友人が、初めて「是非、その本が読みたい」、と著者名を尋ねました。<P>私がそれまで3年の間「このために、これが出来ない」と言い訳していた内容を、この本を読んで翻したからです。<BR> そのことは『不幸の心理 幸福の哲学』を読む前には・・・私がつぎつぎに自己啓発の本の話をしながらも、けして変えなかったことでした。<BR> 彼は私が”全て自分から発しているんだよね”とつぶやきつつ紹介した本を、なぜ読みたいと思ったか理由を説明してくれました。<P>「イチローの言葉で印象深いものがあるよ。“迷った時直ぐに監督やコーチに相談したりしてはいけない。自分が自分の監督にならなくては。・・・”彼はそうやってゲボを出しながら進んで来て、いま輝いているんだ。」・・・(イチローと彼と私は同じ地方の人物です。「ゲボが出る」は「げろを吐く」という意味です。)<P>自分が自分の監督になれる、幸福に至る極めて厳しく深く、かつ暖かい本。
知識や物理的な出来事ばかりの「知」ではない。<BR>幸福、生きる、死、愛、魂、私…そんなことを私はどれほど知っていたのかということを彼の本で思い知らされる。<BR>「私は知らないことが大きすぎる」そうは思っても、思い知らされたことを知ってしまうともうあとには引けない。<P>哲学することとアドラー心理学の特徴の一つである「目的論」との合致は科学的で漠然とした抽象論ではなく論理的であり具体性に富んでくる。<P>「人生が複雑なのではなく、私が人生を複雑にしているのである」…私の人生ばかりではなく他者の人生までをも複雑にしてしまうような生き方をするわけにはいかないだろう…そんなことを思うと『世界は信じがたいほどシンプルである』ことをより探求したくなるようなそんな貴重な一冊。