色々参考になりましたが、ナルコレプシーに関する<BR>ことが全く書かれていなかったことが残念です。
リタリンの特性について、「その患者の最適の用量が見つかれば耐性が生じる(同じ効果を得るために用量を増やす必要が出てくる)ということを示す証拠はほとんどない」「薬物による治療には、中枢神経刺激薬がベストの選択であることに疑いはない。治療に刺激薬が使われるのであれば、リタリンを選ぶ理由はいくつもあげられる。(中略)どの薬にもまして治療効果が証明されている。(中略)副作用が少なく、医師が安心して処方できる」「ゾロフト、パキシル、セレクサ、レキセプロなどの新薬が、リタリンと一緒に服用しても安全性に問題は無く、広く使用されている」など、昨今の日本での悪評の誤りを的確に指摘した画期的かつ適正なレポート。
著者が米国人のため、米国内事情(ADHDの子供に対する処方が中心)を前提にしたエピソードが多いことに少し違和感を覚えるものの、「リタリンはどういうきっかけで何の目的で開発され、使用されてきたか」、「リタリンが具体的に脳内でどのような作用を起こすのか」「(日本では一般にはあまり知られていない)リタリンの副作用」など、リタリンを服用している患者にとっても、処方する医師にとっても一読に値する本。ADHD、うつ、パーキンソン病、老人性痴呆症、統合失調症などあらゆる精神疾患に関わる全てのひとにお勧めします。