「発売されたと思ったらすぐに書店から消え、図書館には入れてもらえず、古本屋でもめったに見かけない」本を著者は廃本と名付け、廃本が占領した部屋から読みたい人へ売ればいいのではないか、とオンライン古書店を立ち上げる経過をつづった本だ。表紙で書斎(仕事場)に座ってネコを抱く著者の写真もほのぼのとしている。文章が平易で大変読みやすく開店前後の経過が細かく記録されている。古物商の許可が警察署の防犯課とは知らなかった。買い取り先で、死んだ親父の残したものがエロ本だったというのも記憶に残る。第5章は開店10ヶ月間の日記。簡単な収支もついて運営結果も分かりやすいし、著者の精神的な動きもわかる。大学では学生が教科書の売買サイトを立ち上げたりしていると聞く。楽な商売ではないだろうが、これから独力でオンラインビジネスに打って出る人には参考になると思う(データは古くなっているが)。
私はある日、オンライン古本屋になろう!と思い立った。<BR>しかし何を、どうはじめればいいのか?いろいろな情報を<BR>探すうちに、出会ったのがこの本だった。<BR>北尾トロさんはライター。私はイラストレーター。<BR>なんとなく、共通点も感じ、本を購入するに至った。<P>著者の日常生活から伺える、オンライン古本屋の暮らしは<BR>どこかのどか。ああ、私も古本屋になりたい。<BR>そう思わせる空気が流れている。古本屋に関するノウハウも、<BR>説明くさくなく、本当に著者が本屋を営んでいる中で学んだことや<BR>悩んだことばかり。古本屋の誕生や成長過程を見ることで、読む側は、<BR>そんな貴重な古本屋としての「経験値」をおすそわけしていただける。<P>オンラインの古本屋を開きたい、と思っている人にとっては<BR>なかなかない商売だけに、一冊でもこういう本があることが<BR>本当に救いになるだろうと思う。<BR>どうにか私も古本屋を開けそうである。<P>余談だが、著者の北尾トロさんの開く期間限定のブックカフェに行き、<BR>本人にお会いしたが、やはり本の文章の雰囲気そのままの人だった。<P>古本屋を開きたい人も、そうでない人も。トロさんの人柄あふれる、<BR>オンラインとは思えない体温のあるショップを味わってください。
本に囲まれて暮らす、それはすべての本好きの夢。 数々のアルバイトを重ねた私も、書店のレジ係が一番たのしかった。朝新聞の書評欄をチェックし、出勤して入荷したての顔ぶれを調べ、次々と売り、質問や相談に答え、それは天国のような日々だった(時給500円だったが)。<P>レジ係でもそれほどだから、店長だったらどんなにステキだろう。しかも自分の好きな本、お勧めの本だけを集めてきて売れるなら。本のセレクトショップができるなら、どんな貧乏でも毎日笑顔でいられる気がする。古本とか新本とか新古本とか、そんなことは本来どうでもよい。文字のついた紙が綴じてある、嗚呼それだけでそれが私を心地よくさせる。その気持ちよさを世界に広めたい。<P>それを実現した著者の、日々の暮らしぶりを描く気持ちのよい本。楽しく楽しく一挙に読み終わる。