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| 不思議な数eの物語
(
E.マオール
伊理 由美
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自然対数の底eをめぐるストーリーをたどることによって、対数、指数、多項式方程式、微積分、三角関数、複素数など、文系の人間にはとっつきにくい数学のアイテムの数々が、なぜ発明され、どのように必要なのかを、とても明快なレトリックで解説してくれる本。この1冊だけで数学的教養が深まったような感覚を味わえて気分がよい。読んで良かった。 円周率πについては小学生でも意味を理解できますが、もうひとつの無理数の代表格eについては、πのように簡単な図形に関連しているわけではないので、一般の人にはなかなかなじみのないものでしょう。<BR>理数系の人にはeはよく理解されていますが、複利計算に出てくることを知れば、おカネの増え方に関連しますので、興味の沸く人もいるかも知れませんね。<P>これ以上神秘的なものはないと思える公式は、e、π、i、0、1、という5つの数を簡潔に結びつけたものですが、それ以外にも不思議な数eにまつわるエピソードが満載です。数学的記述が多いので、基礎がない人には読みづらいかも知れませんが、それを補って余りある歴史的な事柄を綴っており、歴史書としても十分読み応えのあるものと思います。
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