この本の中で著者がくどいぐらい繰り返し言っていることは、<BR>「ほとんどの場合、大したことはないから、慌てるな」<BR>これが、乳児を持つ親には本当にできないことでして……。<BR>この冷静さは、夜中に調子の悪い子を抱いて、必死にページをめくるときには、<BR>心強い味方です。<BR>育児本というと、ピンクやオレンジの、並べておくのが<BR>恥ずかしいようなキャピキャピしたものが多いのですが、<BR>この本は、文体からして、大薮春彦を思わせる、ハードボイルド調。<BR>著者が、年代的に大薮と近いのと、いろんな修羅場を見てきた小児科医という<BR>こともあると推測しているのですが、<BR>この、簡潔かつ、的確、冷静という辺りが、男性には心地よいようです。<BR>わが家では、父親の方が熱心に読みふけってました。<BR>一般的な乳幼児がいる家庭で、考えうるあらゆる事態への対処法が<BR>書かれているのも、心強かったです。<BR>他のレビュー同様、初めて子どもを育てる家庭へのプレゼントに大推薦です。
長い間、ベストセラーになっているだけあって、この育児書は育児にかかわる親の哲学書の意味でもすばらしい本です。私の娘も小さい時に目をパチパチする癖があり、いつもそのたびに注意していたのですが、この本で「親は気にせずに注意もせずに知らん顔をしてるのが良い」と書いてあり、そのとおりしたらすぐに直ったこともありました。子供の病気には親がチヤホヤしすぎたり、注意しすぎたりというのが、とっても影響するのを肌で感じました。今は、子供2人は大きな病気もせず大きくなりましたが、ボロボロになったこの本を捨てられずに今でも大切にしています。
大切な友人に赤ちゃんが生まれると、いつもこの本を贈っています。下のレビューにもありましたが、夫婦で読んでいるという人、旦那さまの方がハマってしまったという人が多いです。<P>この本の最大の特長は、子どもの立場に立って、一人一人の子の個性を大事にするという姿勢が徹底していることです。初版は随分昔ですが、著者は何十年経っても変わらない、普遍的なもの、変わらぬ真実を見すえる目が備わった人物だと思います。現代に至る時代の変化を、随分昔からキャッチしていたのだなと感心させられることも多いです。<P>大手出版社から、医師の「監修」のもとでライターが書いた育児書も多数出ていますが、医師本人の手でここまで丹念に書かれ続けてきたということに畏敬の念を禁じ得ません。この本を書き始め、その後医師として現場を退いたあとも、毎日午前中かけて、ありとあらゆる医学の本を読み続け、読者からの手紙をもとに、読み手が抱く育児への疑問に対しての答えを盛り込み続けてきたと新聞で読みました。そのように、著者として責任をもってこの本を精緻に作り上げてきたのだと思うと、その長年に渡る作業に感動せずにはいられません。<P>確かに、熱く私見を語っているかのように見える記述もあるかもしれません。しかし、その根底には未来を作る子どもたちへの思いが感じられ、許容できるものだと思います。というか、この本全体の価値を思えば、そうした記述は些末な事であると思います。