~建築家と建築士。どう違うのか。建築家を名乗るということは、どういうことか。デザイナーの社会的地位と建築家の社会的地位の差を考えた時、デザイナーとは、なんてカジュアルな職業だろうかと考えさせられる。建築家もデザイナーも「僕は建築家です」「わたしはデザイナーです」と、名乗り、名刺の肩書きに書くことは誰でもできる。しかし、例えば、建築家~~、磯崎新氏に「自分は建築家だ」と、すべての「建築家」を自称する人は名乗れるだろうか。同じように、デザインの世界にも、社会を考え、歴史の上に立ち、作家性の本質を見極め、企業にとって「デザイン」がどうあるべきかを真剣に提言して具現化していくプロとしてのデザイナーという一握りの本物は存在する。そういう身を削って、日々のほとんどを「デザイ~~ン」に費やして格闘しているデザインのプロの横に立って「僕もデザイナーです」と、プロとしての著者の横で、そう言えるだろうか。この本は、デザインをする前に読んでおきたい本だと思う。デザイナーを名乗りたいのならば、著者、原さんがいる場所にならび、「私もデザインをしたい」と、思っている人は、まず、これを読むべきだと思う。デザインとは「存在~~させるもの」ものであって、表層のそれを言うことではないと。非常に難しい職業であるということを、さらりとは書いているけれど、これが「デザインをする」ということだと言うことがわかる本です。~
デザインとは,媒体を通したコミュニケーションを仕組むことだとして,デザインの本質をわかりやすく述べたエッセイ。<BR>見た目をごちゃごちゃいじることだと思われがちなデザイン。そーじゃないんだ!と,激しく主張したい気持ちが,固さを気取るも軽薄な文体からもビンビン伝わる。<BR>ただ,語られるデザイン論はどれも強者のデザイン。上から上から仕掛けてくる。生活するのにいっぱいいっぱいの身には関係ないかのような話が続く。<BR>そんな中,愛知万博計画のカンキョー万歳論者のヒステリーによる頓挫の一節は,「上からデザイン」そのものへの反発に思えた。<BR>いずれにせよ,確かにデザインとは何か,著者の考えが良くわかる一冊だった。
いつもは社会学や経営学、歴史等の書籍に接しているのですが、本物のデザイナーの感性は目からうろこでした。<P>特に良いと思ったところは、日本においては「市場のクオリティが低い」という項目です。市場に迎合する商品を出すとどんどん民度が下がり、下がった民度に迎合するとますます商品の文化性がなくなる・・・<P>ヨーロッパでなぜコンビニがうまく行かないのか?の答えがこれでした。<P>市場を捉え、いかに競争に勝つか、という視点でモノを考え続けてきた自分にとって、原氏の提唱する「市場を教育する」という視点には正直脱帽です。