小説のような読みやすい表現。鳥肌が立つほど引き込まれるリアルな文章。ジョン・ダワー懇親の一作が、ここに増補版として誕生した。政策面だけでの占領統治では、日本の戦後はわからない。この本と他の本を絶対的に違うものとしてひきたたさせているのは、第四章・敗北の文化の存在ではないか?戦争に負けた上に、鬼畜米英とまで歌った敵国米兵に好きなようにされる、自国の女達。そしてそんな米兵達に魅せられていく日本の女達。生きるか死ぬかの闇市での生活を余儀なくされる、浮浪児達。何重もの屈辱を間接的にも直接的にも味わわされた、日本の兵士達。<BR>力のこもった、重い一冊です。日本人全員必読!
自らを被害者としてのみ描き、アメリカだけを見つめて生きてきた戦後日本のリアルな背景が、支配層、民衆のエピソードに即して展開する。戦場とした隣国への常軌を逸した無関心は自ら戦争責任を明らかにしなければ克服できないだろう。もちろんこの場合の戦争責任とは人道に対する物であり、戦勝国の物ではない。そうしてはじめて我々はアジアにまっすぐ顔を上げて対することができる。
言わずと知れた戦後史を語るうえで絶対はずせない名著。必読です。<BR>福井晴敏氏の『終戦のローレライ』を読んだのを機に引っ張り出し再読。<BR>『ローレライ』に興味を持った若い方は、是非本書にも挑戦してみて下さい。<BR>やはり面白い。数百点の図版が掲載されており(増補版でさらに追加)<BR>知識人や政治家の視線だけではなく、一般人の目線から当時の世相や雰囲気<BR>を丸ごと伝えんとしていて未だにこれを凌駕する本にはお目にかかれない。<BR>外国人だから書けたのかも。邦人の著作では最近出された小熊英二『民主と<BR>愛国』もあるが、知識人の言説を跡付ける事で浮き上がらせる方法をとって<BR>いる分、ダワーの方が依然解り易いのは事実。東京裁判や長崎の永井博士の<BR>事など、高度成長期生れの私にとって本書は啓蒙書としての役割を果たして<BR>くれました。ピューリツァ賞を受賞し、米国でもベストセラーに。