『ナルニア国ものがたり』の三作目ですが、私はこれまでの物語の中で本作品が一番好きです。海という果てしない冒険の領域を舞台にした作品で、その中でも一貫して読み取れる教訓、場面場面で読み取れる教訓など様々ですが、その全てが「冒険譚」として美しくまとめ上げられています。このように評価しているのは、児童文学とは、このように子どもをハラハラドキドキさせながらも、知らずのうちに深い教訓の世界へ誘うものでなければいけないと私は考えているからです。<P> この物語の中では、ルーシーが魔法の本を読んでいる場面、ユースチスがある動物へ変化してしまう場面、のうなしあんよと呼ばれる者たちが登場する場面が特に印象に残りました。どれも本当の自分に気付く場面ですが、どれもが現実の世界に当てはめて考えてみると納得のゆく場面展開でした。成長とは自分の欠点を見つめて初めて出来るものだと思います。実際辛い事なのです。<P> また名脇役である、リーピチープの存在も忘れてはいけないでしょう。彼の無謀なまでの勇気と、揺らぐ事の無い確たる自分は一度は誰もが欲しいと思えるはずです。最後の場面での彼の言い回しはとても爽やかで、背景との絶妙な融合ぶりでした。<BR> またアスランも登場しますが、やはり宗教的なイメージは拭い去れません。現実の世界では別の名前で呼ばれているというあたりからは、特定のものではなく、どこか抽象的な神様を表現しているような気がします。<P> 本当に素晴らしい一冊でした。
ルーシーとエドモンド兄妹は従兄弟ユースチスの家に滞在中、額縁の絵の中に招き入れられ、航海中のカスピアンと出会います。カスピアン一行は昔不明になったナルニアの7卿を探していて、彼らは数々の冒険を共にします。<P>●離れ島諸島:奴隷商人に売り飛ばされ、島の悪徳総督を懲らしめ、ベルン卿を見つけます。<BR>●無人島:大嵐の後で発見、上陸。ユースチスが龍に変身してしまいます。オクテシアン卿の死亡を確認。<BR>●死水島:大海蛇との死闘、全てを黄金に変える池の水を発見。1卿の亡きがらを発見。<BR>●声の島:「のうなしあんよ」と出会い、彼らの願いをかなえます。ルーシーが魔法を使うことになります。<BR>●くらやみ島:悪夢が現実となる恐怖を味わいます。ループ卿を助けだします。<BR>●この世の果ての島:眠り続ける、残る3卿を発見します。星の姫君から「この世の果てのはじまり」について教えられます。<BR>どのエピソードも独立したお話にしていいほどです。<P>登場人物の個性が本当にイキイキとしています。ルーシーのやさしさ、エドモンドの思慮深さ、リーピチープの騎士道精神、カスピアンの勇気・友情、船長の忠誠心が豊かに描かれています。<BR>また、竜に変身した根性曲がり(^^;)のユースチスはアスランの導きによって新しく生まれ変わります。<P>カスピアンは星の姫君を花嫁に迎えます。勇士リーピチープは最大の願い、この世の果てに「アスランの国」を見い出します。ルーシー達は自分の世界でアスランを見い出すように教えられます。<P>冒険への「憧れ」は各人異なりますが、それは「願いを実現」するための原動力となって、見えなかった世界の扉を開けてくれるのでした。
ある日、絵の中にすいこまれてしまったルーシーとエドマンド。<BR>するとぐうぜん、なつかしいカスピアンに出会いました。<BR>それからルーシーたちは・・・・・・・・・・・・