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はてしない物語 (上) ( ミヒャエル・エンデ 上田 真而子 佐藤 真理子 Michael Ende )

映画のネバーエンディングストーリー1を見て、ふぬけな主人公に感心しなかったと言ってた知人がいた(映像美はすごいんですけどね)<P>映画の1はまえがきでしかないし、映画の2以降は駄作(というか映像化が無理でしょう)<P>本のほうをぜひ読んで欲しい。特に下巻。

 ただただ素晴らしい。文学作品としての完成度も申し分なく、一気に読みきってしまいました。ファンタジーとはこのように手に汗握るものでなくてはなりません。バスチアンが冒頭で述べている通り、「本は閉じている時、その中で何が起こっているのか」という問いの答えが本書であるような気がします。まるで合わせ鏡の中にいるかのような世界観は圧巻です。<P> またその物語としての素晴らしさに加えて、現代への風刺も忘れていないあたり、『モモ』の作者であるエンデらしいと言えるのではないでしょうか。虚無の広がりと言うのは、明らかに子どもの本離れや空想力、想像力の低下を示唆しているものではないでしょうか。作者はそれを「虚偽の氾濫」としてはいますが実際にはもう少し深いところに問題はあるはずです。<BR> では真実の名前とはどのような意味を持っているのでしょう。『千と千尋の神隠し』でも『ゲド戦記』でも同じような状態が登場しますが、それは物事の表面にとらわれるな、というくらいの意味を持っているのでしょうか。内面にこそ莫大な力がこもっていると考えても良いでしょう。<BR> 三つの門の意味も気になるところです。人生には何かを通過して初めて見える世界というのがあるはずです。上を目指せば目指すほど、上が遠く見えるという事もあるはずです。ですからアトレーュ以外の者が通ったならば、違った意味になるのではないでしょうか。<BR> <BR> またはじめは学校においても弱者であったバスチアンがアトレーユの姿を見て勇気をあたえられている場面を見ても、子どもの冒険心をかきたて、弱者でもできる事はあると伝えようとしているのではないでしょうか。まだ上巻のみですが、作者はきっと下巻でバスチアンを活躍させてくれるでしょう。

終わって欲しくない物語ってありますよね?私にとってはこの本がそうでした。上下巻に別れていない、ハードカバーの方で読んだのですが、中学生にあがる親戚がいると、必ずプレゼントしています。<P>二つのお話が並行して語られる様は、後で村上春樹氏の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだ時、不思議な相似点を感じてしまいました。<P>児童文学必須の勇気と愛といったものは勿論ですが、人間には闇の部分もあるんだということと、この世の中には得たいの知れない何かがあるものだというものに向き合わさせてくれる、つまり、通り一遍の世の中じゃないということを啓蒙してくれる良き書だと思います。

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はてしない物語 (上)&nbsp;&nbsp;&nbsp;いじめられっ子の少年が、不思議な本の世界に入り込んで、数々の冒険を繰り広げる傑作ファンタジー。著者のミヒャエル・エンデ(1929-1995)は、児童文学という枠を越え、作品を通じて現代社会に対するさまざまな警鐘を鳴らし続けた、ドイツを代表する作家である。1979年に発表された本書は、『モモ』 『鏡のなかの鏡』とならぶエンデの代表作として名高い作品だ。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;デブでチビの少年バスチアンは、古書店で目にした1冊の本に目を奪われ、たちまちその世界に魅了されてしまう。ファンタージエンという国を舞台にしたその物語では、女王「幼ごころの君」が病に倒れ、何もかも飲み込んでしまう「虚無」が王国を滅ぼそうとしていた。女王の特命を受けた主人公アトレーユは、その危機を救うべく探索の旅に出る。しかし、アトレーユの冒険の中には、読み手であるバスチアン自身の話までもが書かれていた。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;幸いの竜フッフールをはじめとするユニークな怪物たち、古今東西の名作をモチーフにした挿話。そして、随所に挿入される「けれどもこれは別の物語…」という意味深長なキーワード。エンデの遊び心が存分に散りばめられた物語からは、世代を問わず誰もが、何度読み返しても、新たな発見を見つけ出すことができる。なぜなら、「幼ごころの君」が象徴するように、本書を通じてエンデが語りかけるのは、すべての人の心にある「永遠の子ども」に対してだからだ。本書にはまさに、果てのない物語が幾重にも広がっているのである。(中島正敏)
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