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はてしない物語 (下) ( ミヒャエル・エンデ 上田 真而子 佐藤 真理子 Michael Ende )

ファンタージエンに行ってから、バスチアンが変わってしまったことにショックを受けました。<P>もっと美しく、もっと強く・・・と、何でも叶えようとするバスチアン。<BR>ひとつ望みが叶えられると次の不満が出る。その繰り返しで満たされない。<BR>その望みが叶えられるごとに、ひとつ、またひとつとなくなっていく「自分」の記憶。<BR>自分で手に入れたのではない望みに‘代償が伴う’というのがすごく怖かった。<P>大人たちにこそ読んでほしい物語だと思います。<P>・・・そんな自分は「子供」ですが。

 エンデの作品の世界観は本当に素晴らしい。現代に欠けている物を的確に、それでいて遠まわしに受け取る人それぞれが感じ取れるようになっていると思います。ただ単に上巻のリズムが下巻に引き続いていたのならば、それは単なる「物語」で終わっていた事でしょう。本当に本書には題名の通りはてる事がありません。読者の想像出来るファンタージエンは無限に存在するでしょう。<P> 上巻だけを読んで私はバスチアンの活躍を期待していましたが、彼は私の予想通りの活躍はしてくれませんでした。しかしむしろ予想を裏切ってゆくバスチアンの姿にどこか自分の姿を重ね合わせてしまい、自分だったらば・・・と考えてしまう事の連続でした。友情、愛、記憶、願い・・・言葉は綺麗ですが、それとは裏腹に美しくない部分をも含んでいるのがこれらの言葉です。それを教えてくれたのが、バスチアンその人でした。<P> まさにファンタジーの代表作です。本離れが進む現代っ子にぜひとも読ませたい一冊であり、また子どもだった頃の記憶を無くしかけている若者にも読んで欲しい一冊でもあります。本当に楽しめました。時間を忘れ、夜中まで読みふけっていたのはバスチアンだけではなく、私を含め、この本の読者ならば誰もがそうなのではないでしょうか。

ページが進むほど目を背けたくなる。<BR>この有名な本を前に、そう思った方は意外と多いのではないでしょうか?<BR>私はぐいぐい物語に引き込まれる一方で、読むのが大変つらかったです。<P>上巻では、バチスアンと一緒になってアトレーユの冒険を応援していました。無邪気に、何も考えずに楽しめました。<BR>ですが、下巻でのバチスアンはどんどん欲望に貪欲になっていきます。<BR>力も勇気も手に入れて、みなから敬われて、もとの人格も容姿も変わってしまうのです。記憶と引き換えに。<BR>それは幸せなことでしょうか。<P>そして読者としては、それがどこか現実の自分と重なってしまうのではないかという怖さを感じます。<BR>本当に大切な望み、そのたった一つのものを私達は間違えずにいられるでしょうか。

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はてしない物語 (下)&nbsp;&nbsp;&nbsp;いじめられっ子の少年が、不思議な本の世界に入り込んで、数々の冒険を繰り広げる傑作ファンタジー。著者のミヒャエル・エンデ(1929-1995)は、児童文学という枠を越え、作品を通じて現代社会に対するさまざまな警鐘を鳴らし続けた、ドイツを代表する作家である。1979年に発表された本書は、『モモ』 『鏡のなかの鏡』とならぶエンデの代表作として名高い作品だ。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;デブでチビの少年バスチアンは、古書店で目にした1冊の本に目を奪われ、たちまちその世界に魅了されてしまう。ファンタージエンという国を舞台にしたその物語では、女王「幼ごころの君」が病に倒れ、何もかも飲み込んでしまう「虚無」が王国を滅ぼそうとしていた。女王の特命を受けた主人公アトレーユは、その危機を救うべく探索の旅に出る。しかし、アトレーユの冒険の中には、読み手であるバスチアン自身の話までもが書かれていた。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;幸いの竜フッフールをはじめとするユニークな怪物たち、古今東西の名作をモチーフにした挿話。そして、随所に挿入される「けれどもこれは別の物語…」という意味深長なキーワード。エンデの遊び心が存分に散りばめられた物語からは、世代を問わず誰もが、何度読み返しても、新たな発見を見つけ出すことができる。なぜなら、「幼ごころの君」が象徴するように、本書を通じてエンデが語りかけるのは、すべての人の心にある「永遠の子ども」に対してだからだ。本書にはまさに、果てのない物語が幾重にも広がっているのである。(中島正敏)
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