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| ふたりのロッテ
(
ケストナー
高橋 健二
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ケストナーは、きれいごとを言わない。<P>生きていくのは大変なことだ。<BR>大人も、子どもも。<BR>ケストナーの作品に出てくる子どもたちはみんな、試練を受ける。<P>今回も笑って泣かせてハラハラさせて…とケストナーの真骨頂。<BR>凝ったストーリー展開で、大人にも充分読み応えあり。<P>今でこそ、双子ネタや離婚ネタは珍しくないが、当時から所詮子どものお話とタカをくくらない作者の真摯な姿勢には胸を打たれる。 日本でも知名度の高い児童文学作家、エーリヒ・ケストナーの一風変わった作品。離婚した両親を仲直りさせるために双子の姉妹が奇策を思いつく、という展開は、いろいろな形で今日のドラマでも利用されており、かつては本書をもとにした演劇なども日本で活発に上演されていましたが、最近はあまり人気がないようです。他のケストナー作品同様「子供も大人と同じぐらい現実の厳しさに立ち向かおうとしている」ということを訴えかけていますが、両親の離婚という身近でリアルな問題を扱っているせいか、他の作品のような子供らしいのびのびしたエピソードが少なく、やや地味な作品といえそうです。
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