掲載された物語は、それぞれ年代がバラバラで、ゲド自身が関わる物、そうでない物がある。<BR>読む順番とすれば、五巻の前に読めば、五巻の理解がスムーズにできたのではないかと思う。特に、「トンボ」でそれを感じた。<P>四巻以降、魔法の力が全てではない、普通の人間の世界に戻ってきた感があり、この中編集も、絶対的な権力たる魔法よりも、人間同士の信頼、情愛が軸にある。<BR>著者自身の解説も丁寧で、アースシーの理解に役立つ。<BR>まだまだ隠された物語がたくさんありそうな気になる解説だったのだが、ル・グウィン女史はもう、筆を置いてしまったのでしょうね。<P>ならば、この味わい深い物語を読み返し、また、一巻からじっくりと読んでみたい。
帰還から以後、いつも同じなのは、本を早く読み進めたいのを我慢して、少しずつ、ゆっくり読むこと。もちろん、読み終わってしまうのが惜しいから。それほどに、手に取った新刊は、私にとっての宝物だった。最後になるのであろう、この本も大事に大事に読ませて頂いた。<BR>今時、こんな思いもなかなできませんぞ。<P>読者の一人として、ゲド戦記に出会えた事を心からうれしく思っている。<BR>少しでも興味がおありなら、ぜひ、「影との戦い」からゲドの世界へ。
中篇が多いせいか、見た目の厚さほどは読みにくくは無い。一篇一篇が味わい深く、考えさせられる。<BR> ファンにとっては、ロークの学院の成り立ちや、大賢人時代のゲドにも出会えるとあって珠玉の一冊となっている。作者自身の解説がついているが、それで夢が壊れるとかいう事はまったく無い。むしろ満たされる感じ。<P> 5巻で切なくなってしまった人には、特に読んで欲しい。