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| 馬と少年
(
C.S.ルイス
ポーリン・ベインズ
瀬田 貞次
)
多くの人が指摘しているように、この物語はシリーズ中でも異色の存在である。<BR>シリーズの他の物語では、人間世界の少年少女が異世界であるナルニアに<BR>(不思議な力で引き寄せられて)やってきてナルニアの危機を救うという点で<BR>一貫しているのに対し、本編の主人公シャスタはあくまでもナルニアと<BR>同じ「世界」の人間なのである。だが、シャスタが育ったカロールメンは<BR>ナルニア国とは正反対のいわゆる「アジア的専制君主国家」であり、<BR>人間社会の現実の鬱陶しさを感じさせるという点では二十世紀のイギリス以上に<BR>そうであり、シャスタはその意味で地続きながらもナルニアの「異世界」の<BR>人間であることは間違いない。その意味で、本編もシリーズを通しての<BR>「定型」を変則的ではあるが継承していると言えるだろう。<BR>ナルニアの生まれながらカロールメンの現実に順応している二頭の馬や<BR>大貴族の娘として生まれながらも専制主義に反発しているアラビスなど、<BR>シャスタを取り巻く人物も細かく描き分けられており、「美貌の貴婦人」と<BR>なったスーザンや英明な君主となったエドマンドの成長ぶりを見るのも<BR>大変楽しく、シリーズ中最大の娯楽編とも言えるだろう。
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