…歴史とは何か? <BR> 根本的な質問でありながら、最も答える事が難しい問いに答えようとしたカーの意欲作。 <BR> 何よりも、歴史における「解釈」の重要性を指摘し、従来の実証主義歴史学で信奉された「歴史の客観性」を否定した。「歴史とは現在と過去の対話」(p.40)と言うカーの最も有名な言葉があるが、しかし私は、カーの最も重要な言説は、第4章最終ページにある「未来への意識」(p.160)だと思っている。 <BR> なお、カーの根底に流れる進歩史観、そして「理性」に対する見解は、特に第5、6章で述べられており、ここだけでも必読に値する。これを読んだ後、漠然とながらも学問の未来に対する深い期待を抱かされた自分がいた。 <BR> 個人的には、第1章p.7で述べられている、歴史家にとって事実に正確であると言う事を賞賛する事は、「よく乾燥した木材を工事に用いたとか、うまく交ぜたコンクリートを用いたとかいって建築家を賞賛するようなものであります」と言う文章が一番好きである。これを読んだ後、自分の中でイェリコの壁が音を挙げて崩れたのを今でも思い出す(笑) <BR> しかし、ちょっと分かりづらい面が幾つかある…その為、カーの『新しい社会』と一緒に読んでみると、彼の世界観がより一層理解しやすくなると思う。
本書は、題名の通り「歴史とは何か」について書かれた本です。非常に本質をついた哲学的な内容です。言ってみればヘビー級です、読むのなら気合を入れたほうがよいと思います。しかし読破すれば歴史についての認識がきっと改まりますよ。特に「歴史は暗記」とか「歴史は物語」などと漠然と思っている人は、強烈なカウンターパンチを食らうことでしょう(そう思っていなかったつもりの私がグロッキー状態になった・・)。<P> 本書の名ゼリフに「歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」とか、「歴史書を研究する前にその歴史家を研究せよ、その歴史家を研究する前にその時代を研究せよ」とかがあると思います。しかし私が好きなセリフは「現在の光に照らして過去の理解を進め、過去の光に照らして現在の理解を進める、この2重の目的こそが歴史の機能」です。私は3回くらい読み直してやっと意味が分かりました・・。やっぱりヘビー級なんです、この本・・。<P> 歴史に興味がない人も、著者の洞察力に触れれば考えが変わるかもしれません。40年前の書物、マルクス主義者、という偏見をもって読んでも現代に通用する内容だと思いました。文句なく★5つです。
この本は、すらすら読めるものではありません。<BR>しかし、じっくり読む楽しみを味わうことが出来ます。<BR>言っている事が結構難しい。<BR>でも、例えが、理解のいい手助けになります。<BR>私は、読んでいくうちにE.H.カーの(翻訳者の清水 幾太郎さんの?)<BR>人間の素敵さを感じました。<BR>お茶目なおじさんだった気がします。<P>リアルタイムで講演を聴いてみたかった。