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笑いと治癒力 ( ノーマン・カズンズ 松田 銑 )

身体の状態が心に影響を与えるように、心の状態も身体の回復の重大な鍵を握っていると言うことでしょうか。<BR>WHO(世界保健機関憲章)に寄る健康の定義では、”Health is a state of complete physical,mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”(健康とは身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であって、単に疾病や傷害がないということではない)と、なっています。<BR>そして、この本は『健康な状態』に、自分を引き戻すプロセスをカズンズ氏自身の体験に基づいて書かれた、重要な本であると思います。<BR>病気は身体の失調や細菌感染・事故等による内的・外的要因から精神的・肉体的に引き起こされますが、これも「本人あるいは周囲が心身に不都合を感じ、改善を望むような状態」になった時を指します。<BR>例えば、ガン細胞にしても健康な人で1日約3000個~6000個作られると言われています。これが健康な状態であれば、消滅して行きます。けれどある日、このガン細胞に身体が抗えなくなった時、ガンとして発症するわけです。<BR>つまり病気とは外的若しくは内的な影響が与えられたこと等から、ある瞬間以降、通常の生活が困難である状況であり且つ、本人に苦痛が伴う状態に陥った状態だと思われます。<BR>カズンズ氏のケースは『膠原病』とされています。膠原病は3種類あり、結合組織病、自己免疫疾患、リウマチ性疾患と分類されています。つまり、内臓を含んだ全身にくまなく分布する膠原線維に共通する病変があることを言う、と言われています。結合組織の疾患は、細胞同士を繋ぐノリの働きをする基質と、細胞成分から出来ていて、強度を保つ為にコラーゲンが必要となります。おそらくカズンズ氏がかかったのはこの結合組織病と思われます。そして、友人の医師に匙を投げられ、自分で病気を治そうと決意します。<BR>病気と心の密接な関係、つまり病気を引き起こしたのは自分で、それを治す力(免疫)も自分の中にある。その治癒力を最大限に生かす環境を自分の身体と心に与えてやる為に、笑いを誘引するビデオを観続け、又コラーゲンを生成させるために、ビタミンCを大量摂取したのです。<BR>カズンズ氏の述べたかったこと、お笑いビデオやビタミンCで膠原病が治ると言うことでは無いと思われます。自分の中に自分の病を治す知恵や力がある、ということ、そして『笑う』という行為がいかに病を治すのに必要であるかということを述べられていると思う。<BR>パッチ・アダムス博士にしても笑いが人体に与えた影響について語られている。そういう意味でこの本は、大変大切なことを教えてくれている、と私は思いました。

この本のタイトルを見た人は、やっぱり笑いが病気には1番だよね。という勝手な解釈を抱きますが実はそうではないことを著者は述べています。笑っていれば病気が治るなんて無責任な発言はこの本にはありません。では病からの治療にもっとも必要なものはなんでしょう?この本に書いてあります。<BR>ノーマンカズンズ氏は強直性脊椎炎という難病の自己免疫疾患にかかりましたが、これは自分の免疫が強くなりすぎた状態というよりも、免疫バランスを調節する様々な分子スイッチの誤動作によるもの(原因は先天的、後天的要因があるだろう)と僕は考えています。そもそも免疫の強化とは、単に抗体の濃度を高めるものではなく、免疫細胞の正常化とともに、このスイッチの誤動作を改善するものだと考えると、膠原病は治ってもおかしくないと言えると思います。カズンズ氏が行ったビタミンC大量(30000mgぐらい!!)静脈注射療法にも興味があるかたも是非よんでみてください。

当初は『死の淵からの生還』というタイトルで発刊されたと思いますが、この書籍を読んだ時から大変失礼ながら、ノーマン・カズンズ氏は本当に膠原病であったのかと疑問を持っていました。<BR>何故なら、膠原病は自己免疫疾患であり、通常はステロイドを使用して治療を行いますが、重症なケースは免疫抑制剤を併用して治療をするのが一般的だからです。<BR>通常の病気なら、笑いによって治癒力を高めることは非常に効果的だと思いますが、上記の観点から彼が本当に膠原病だとしたら逆効果だという思いを払拭できずにいます。どなたか適切な回答をお願い致します。

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