いつもながらこの人の本は読みやすくて内容が濃い。<BR>今は古い対人関係のあり方が疑いを持たれ始め、かといってそれに替わる新しいものが確立しているわけでもない。それだけに、大抵の人は自分の人間関係の作り方、維持の仕方に自信がもてないのではないだろうか。この本は、人間関係という、とかく一筋縄でいかないもの立ち向かっていく勇気を与えてくれる。<BR>例えば、著者は「裏切り」というテーマに一章を割いている。裏切りというと我々は普通、あってはならないもの、友情の欠如であるととらえている。それだけに、裏切られた時、裏切ってしまった時、それは失敗としてしかとらえられない。何かを間違ったのだろう、と思ってしまう。しかし、本書では、友情と裏切りはむしろ切り離せないものとして論じられている。理屈で考えたら矛盾しているのだが、それが著者が長い人生経験、カウンセラー経験の中で得た理屈抜きの真実なのであろう。このような奇妙な現実に対して、著者のような人生の大先輩が「そういうことはあるのだ」と言ってくれることで、我々も先入観を捨て、不必要なダメージを受けることなく、友情という奇妙な現実に立ち向かうことができるのではないだろうか。
臨床心理学者であり、教育論、子育て論、はたまた仏教論など<BR>幅広い見識のある著者が<BR>「友情」について真っ向から向かっていった一冊です。<P>「ココロの止まり木」(02年~03年に週刊朝日に連載)の中で<BR>紹介したフレッド・ウルマン著「友情」がきっかけになったそうです。<P>古今東西の色んな書物や著者の経験を<BR>「友情」という切り口で読みやすく書かれています。<BR>しかし、急に重い事や苦しい事が書かれているとあとがきにあるとおり<BR>自分自身が自分に問う時間が必要になる場面もありました。<P>友情とは目的地や到達点ではなく、<BR>行くえを照らす星だ<P>という言葉は響きました。<P>サラリと読めてずしりとくる一冊です。
自分が思っていた友達とのこと、分からなかったことが本を読んでいくと一つずつ分かっていく感じ。